ダイエットに重要なのは食べる「量」より「時間」!? 発想の転換でラクやせが叶うかも

健康・美容

更新日:2021/6/3

『やせる時間に食べてみた!』(望月理恵子/主婦の友社)
『やせる時間に食べてみた!』(望月理恵子/主婦の友社)

 おやつは食べていい。でも3時までに。

 そんなことは考えてもみなかった。おやつは、食べるか食べないかのどちらかだと思っていた。午後3時までに食べていいなら、今まで我慢してきた辛い日々はなんだったのだろう。

『やせる時間に食べてみた!』(望月理恵子/主婦の友社)は、ダイエットにおいては「何をどれだけ食べるか」よりも「いつ、何を食べるか」「どの時間帯に何を食べるか」が重要だと説く。食べたいものをがまんして食べないのではなく、食べる時間を変えてみるという発想の転換。それでいいのだと思うと気が少し楽になる一冊だ。

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 本書のベースは「時間栄養学」という考え方だ。1日24時間の地球の動きに合わせて生体リズムを刻んでいるという「体内時計」。体内時計を軸にして、食べるタイミングが健康にどう影響するか、そのメカニズムを研究するのが「時間栄養学」だ。実は、私たちの細胞の中には体内時計をコントロールする「時計遺伝子」があることも突き止められ、2017年に、3人のアメリカ人科学者がノーベル生理学・医学賞を受賞している。このことが弾みとなり、体内時計を意識した栄養のとり方について、研究が深まってきているのだ。

 冒頭のおやつの例に戻ろう。私たちの体には、脂肪をため込んだり、新しい脂肪細胞をつくり出したりする「B-MAL1(ビーマルワン)」というたんぱく質が存在し、体内での量が刻々と変わっている。B-MAL1が最も少ない午後2~3時は、脂肪のもととなるものを多少食べても脂肪に変わりにくいのだ。また、ちょうどおなかがすく時間帯でもある。空腹のまま夕食で急に糖質などの多い炭水化物を食べると血糖値の急上昇を招いてしまうが、3時ころにおやつを少し食べることは「ヘルシースナッキング」といい、夕食後の血糖値上昇を抑え、太りにくくなる。しかし、午後3時をすぎるとB-MAL1が再び増加するため、おやつを食べるなら午後3時まで、というのだ。逆に、B-MAL1が多い時間帯(=深夜)にスナックなどを食べると、新しい脂肪細胞がどんどんつくられ肥満を招くことになる。

 ほかにも本書には「朝からお肉を食べるのが、太りにくい体をつくるための基本」だというページもある。朝からお肉はちょっと……と、ためらうところだが、実は、たんぱく質は3食均等に食べるほうが筋肉になりやすい。筋肉をつければ消費エネルギーが増えて、自然に基礎代謝が上がり、太りにくい体をつくることができるというからなるほどと思った。時間がない日は、朝食を抜いたり、簡単なパンですませたりして、朝のたんぱく質摂取量は少なくなりがちだ。肉はたんぱく質が効率よくとれることもあり、朝から意識してお肉を食べたい。

 自粛期間がこうも長くなると、生活のリズムが崩れがちになる。夜更かしをしたり、ストレスでつい食べ過ぎたりしてしまう。下腹ぽっこりが気になるが、筋トレや厳しいカロリー制限が自分にできる気がしない。この本は、そんなずぼらな私にぴったりの内容だと思う。

 いま食べている「時間」をずらすだけで、体内時計のずれが修正され、太りにくい体質になる。体内時計が整うと、自律神経やホルモンの乱れが改善され、健康に近づけるのだから、一石二鳥だ。ページをめくって、実行できそうなヒントがあったらそこから試してみればOKというゆるさもいい。朝の時間から始まり、昼、おやつ、夜、寝る前と、時系列で構成されているのもわかりやすい。時間栄養学という先端の科学の力を借りて、健康なラクやせを叶えたい。

【著者プロフィール】
望月理恵子
管理栄養士 株式会社Luce代表取締役。山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、小田原銀座クリニック栄養顧問、日本栄養協会評議員。企業での栄養顧問、栄養コンサルを実施。健康検定協会を運営しながら多数のメディアに出演。アンチエイジング、美容、ダイエット、食育の分野で活躍している。

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