具だくさんじゃなくても、野菜1種類でもOK! 気負わずできるお手軽豚汁50品!

暮らし

公開日:2021/6/2

有賀薫の豚汁レボリューション
有賀薫の豚汁レボリューション (野菜一品からつくる50のレシピ)』(有賀薫/家の光協会)

 豚汁というと、豚肉とにんじん、だいこん、芋類、青ねぎなど具だくさんに作るイメージが一般的だ。豚のうまみと野菜の出汁が溶け出たスープが体に染み渡る一品だが、食べたいと思ったときに野菜が豊富にあるとは限らないし、何よりたくさんの野菜を洗って切ってと調理するのは大変。『有賀薫の豚汁レボリューション (野菜一品からつくる50のレシピ)』(有賀薫/家の光協会)は、そんな豚汁の常識を覆してくれる、豚肉と野菜1種類から作れる豚汁レシピの本。

 野菜1種類からと聞くと、何となくまとまりのない味になるのでは……と考えてしまうが、著者であるスープ作家の有賀薫さんによると、逆に食材の持つ魅力が際立って個性的な豚汁ができるとのこと。しかも味付けは味噌のみで、出汁をとる必要すらないらしい。豚肉と野菜1種類でできるなら、1人暮らしの人や買い物に行っていない日でも、豚汁を日常に取り入れるハードルがグッと下がる。気になったので早速作ってみることにした。

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■「じゃがいも豚汁」(P.18~P.19)

有賀薫の豚汁レボリューション

 1つめは「じゃがいも豚汁」。皮をむいて4つに切ったじゃがいもと水を鍋に入れてひと煮たちさせ、さらに水を加えて弱火にし、10分ほどしたら豚肉を加えてさらに煮込む。じゃがいもに火が通ったら味噌を溶き入れて、再び煮立ったら火を止めて完成。

 大きめに切ったじゃがいものホクホクとした食感は、まるで肉じゃがを食べているかのようなほっこりとした気持ちにさせてくれる。また、普段あまりじゃがいもから出汁が出ていることを意識したことがなかったが、具材がシンプルであることで「じゃがいもってこんなに出汁が出るんだ!」と実感。想像以上においしくて、物足りなさもまったく感じず驚いた。

■「カリカリ豚のピーマン豚汁」(P.25)

有賀薫の豚汁レボリューション

 2つめは、「カリカリ豚のピーマン豚汁」。深型のフライパンに油をひいて豚肉をカリカリになるまで焼き、余分な油を取って半分に切ったピーマンも焼き目がつくまで焼く。水を注ぎ、沸いたらふたをし数分煮て、味噌を加えて再び煮立てれば完成。

 この豚汁、ピーマンは本当に2つに切るだけ。種も取らない。今までこんな使い方をしたことがなかったので最初は不安だったが、今まで種を取っていたのはいったい……と思うほどおいしい。これはカレーなどにも応用できそうだ。ピーマンの新しい使い方を知ることができた一品。

■「トマトン汁」(P.28~P.29)

有賀薫の豚汁レボリューション

 最後は「トマトン汁」。深型のフライパンにごま油をひき、豚バラ薄切り肉を炒める。火が通ったら8つ切りにしたトマトを加え、ヘラで押し付けるようにしてさらに炒める。あとは水を加えてひと煮たちさせ、5分ほど煮たら味噌を溶き入れてひと煮たちさせれば完成。

 スープにトマトを入れることはよくあるが、豚肉とトマトだけで作ったのは初めて。どちらもうまみが強い食材なだけあって、シンプルな材料からは想像もつかないほど奥深い味わいだ。味噌との相性も抜群! サラダに使うにはちょっと日にちが経ってしまったトマトも、次回からはトマトン汁にすれば無理なく消費できそう。

 作ったどの豚汁も、豚肉と野菜1種類の出汁だけとは思えない、やさしくも完成度の高い味わいに仕上がっていた。個人的には出汁をとるまでいかなくても、本だしなどで出汁をプラスするとより味にまとまりが出るかなとも感じたが、なくても十分食べられる。意外と顆粒だしを切らしてしまうことも多いので、そういう時にもありがたいレシピだ。

 この『有賀薫の豚汁レボリューション (野菜一品からつくる50のレシピ)』には、野菜1種類で作れる豚汁のほか、2品+豚肉で作る豚汁、ぶっかけ飯、ちょっと変わった組み合わせの変わり種豚汁など、計50種類ものレシピが掲載されている。これだけあれば、冷蔵庫の中身を見てから本書と照らし合わせての豚汁作りもスムーズにいきそう。今晩は、バターとえのきだけで作る「えのバタ豚汁」を作ってみたい。

調理、文=月乃雫