「Zoomに頼るな、Slackを使え」 元マイクロソフトのエンジニアが語るポストコロナで活躍する人材

ビジネス

公開日:2021/6/7

ニュー・エリートの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える
『ニュー・エリートの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える』(中島聡/KADOKAWA)

 リモートワークを中心とした新しい働き方は、もはや日常になった。会社員兼ライターである筆者も、特別な用事がない限りオフィスに出社せず、ほとんどすべての仕事がリモートで完結している。オンライン会議はZoom、ビジネスチャットはSlackがメインだ。仕事終わりの一杯や喫煙所での雑談がないのは寂しいが、働くうえでの不便はほとんどない。

 コロナによって働き方が変わると、当然、活躍する人材も変化する。これまでとは、ルールが変わるからだ。紹介する『ニュー・エリートの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える』(中島聡/KADOKAWA)は、マイクロソフト本社でウィンドウズ95などの開発に関わった伝説のエンジニア・中島聡氏が、ポストコロナで活躍する人材について語る。

コロナ後に活躍する“ニュー・エリート”の特徴は?

 本書はまず、ポストコロナで起こる二極化について論じる。たとえば、リモートワークできる企業と、できない企業。オンライン・ツールを使いこなせる人材と、使いこなせない人材。その二極化によって、これまでとは違う活躍人材――“ニュー・エリート”が生まれるという。彼らの特徴は次の通りだ。あなたはいくつ当てはまっているだろう?

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・オンライン・ツールを使いこなし生産効率が桁違いに高い
・非同期なコミュニケーション能力が高い
・コアタイムやZoomミーティングなど、時間に束縛されることを極端に嫌う
・会社との関係は対等もしくはそれ以上
・「やる価値がある」仕事だけを選んで働く
・オフィスには出勤せず、リゾート地などからリモートで働く
・時間には束縛されず、仕事の成果のみで勝負する
・自分なりのライフスタイルを持っている

 著者が特に強調するのが、オンライン・ツールを使いこなした“非同期コミュニケーション”の重要性だ。同期していないコミュニケーション――つまり、情報の送信者と受信者がタイミングを合わせなくていいやり取りのことである。たとえば、同時に話す電話は“同期”、いつ読んでいつ返してもいいメールは“非同期”だ。

「Zoomに頼るな、slackを使え」

 オンライン会議の代名詞となった「Zoom」は、コロナ禍で爆発的に普及した。しかし、中島氏は「Zoomに頼るな、Slackを使え」と強く主張する。オフィスの会議室からZoomに移行したことで、我々は“場所”の制約から解き放たれ、どこからでも会議に参加できるようになった。だが、Zoomも結局大人数の予定を合わせ、限られた時間で話す必要があり、ミーティングの効率の悪さを解消できていない。

 代わりになるのがSlackやTeamsといったオンラインのチャットツールだ。会議の目的は情報共有と意見交換だが、著者はSlackで十分、あるいはより効率的なケースが多いという。情報共有は、資料を作成してSlackで共有すれば、聞き手の時間を大幅に節約できる。議論を行う時も、時間を気にせず誰もが発言できるし、議事録がなくとも後から追いやすい。

 本書では他にも、オンライン・ツールを使いこなすコツや、ポストコロナでイノベーションを起こすための基本(「手を動かせ」「プロトタイプを作れ」など)を紹介。エンジニアらしい合理性、効率性を追求する視点が満載で、特に筆者のような文系の会社員は学ぶべき点が非常に多かった。明日からZoomミーティングを設定する前に、「それ、Slackのほうが早くないか?」と自分に問うようにします。

文=中川凌 (@ryo_nakagawa_7

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