夏だ! 昆虫だ! 子どもも大人も楽しく学べる人気シリーズ“すごい虫ずかん”第3弾

文芸・カルチャー

公開日:2021/6/14

すごい虫ずかん ひるの虫とよるの虫
『すごい虫ずかん ひるの虫とよるの虫』(じゅえき太郎:作、須田研司:監修/KADOKAWA)

 夏といえば、何だろう。夏祭りに海水浴。すいか割りにかき氷と、夏っぽさを連想すると、キリがないほどさまざまなモノが思い浮かぶだろう。そしてもうひとつ、忘れてはならないことがある。昆虫たちの季節でもあるということだ。

 少年時代に野山をかけ巡り、虫取りを楽しんでいた人たちも多いはず。しかし、大人になると昆虫たちと出くわす機会もなくなってしまう。もう一度、あの頃に戻りたい…。そんなロマンを叶えてくれるのが、絵本『すごい虫ずかん ひるの虫とよるの虫』(じゅえき太郎:作、須田研司:監修/KADOKAWA)だ。

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子どもと大人、それぞれの楽しみ方が異なる絵本

 本書は、2019年6月発売の『すごい虫ずかん ぞうきばやしを のぞいたら』や、2020年6月発売の『すごい虫ずかん くさむらの むこうには』に続くシリーズだ。毎回、テーマが異なるのもこのシリーズの特徴だが、今回はサブタイトルのとおり、昼と夜それぞれの虫たちの生態を知ることができる。

すごい虫ずかん ひるの虫とよるの虫

 子どもにとっては、虫たちについて深く学べる本として。大人にとっては、ただただノスタルジックな気持ちにひたれる本書。表紙をめくると、そこにいるのは麦わら帽子をかぶり赤い半袖Tシャツを着た本書の主人公である“あの日の自分”。「きょうは おっきい カブトムシを みつけるぞ!」と意気込むセリフに、もう、心を揺さぶられてしまう。

土の中や水中など…目に見える場所以外の生態も学べる

 フォロワー16万超(2021年6月)の人気ツイッターアカウント「ゆるふわ昆虫図鑑」を手がける本書の作者・じゅえき太郎さんは、今回の内容について「人気のスター昆虫が勢ぞろい」と紹介する。実際、その登場数は過去2作よりも多いという。

すごい虫ずかん ひるの虫とよるの虫

 虫たちが生活するのは、目で見て分かる草むらや藪の中だけではない。人の目が届かない場所、土の中や水中でも彼らは必死に生きている。その生態を隅から隅まで伝える本書では、解説も充実。日々、子どもたちに昆虫の面白さを伝えようと尽力している監修者・須田研司さんが、優しく丁寧に教えてくれる。

夜の藪の中を覗くと、そこにいたのは…

 虫たちの描写がとにかく緻密であるのも、本書ならではの魅力。今まさに、目の前で動いているかのように思えるほどだ。例えば、昆虫界の王者・カブトムシやクワガタなどが集う夜の藪の中を、本書で覗いてみると…。

すごい虫ずかん ひるの虫とよるの虫

 日中は、木の根元や落ち葉の下などに隠れているカブトムシやクワガタ。彼らは、日が沈む頃になると樹液のまわりに集まってくる。本書の主人公は(おんなじ ばしょなのに、じかんによって いるむしが ぜんぜん ちがうんだ……)と思いをつぶやくが、そんなささいなセリフが、大人になってからすっかり忘れていた純粋さを取り戻させてくれる。

 本書と連動して、KADOKAWAの児童書ポータルサイト『ヨメルバ』では「昆虫観察シート」もダウンロード可能。自分だけの“虫ずかん”を作れる。大人でも子どもでも、虫たちとふれあうきっかけにしてもらいたい。

文=カネコシュウヘイ

■【じゅえき太郎 絵本原画展】
期間:2021年7月22日(木・祝)~9月16日(木)
場所:射水市大島絵本館(富山)
「すごい虫ずかん」の原画・ライブ標本を中心に、そのほか「ゆるふわ昆虫図鑑」のイラストも展示。
お問い合わせ先:射水市大島絵本館(http://www.ehonkan.or.jp/index.htm
※新型コロナウィルス感染拡大により、イベントが中止・延期になる場合があります

■昆虫観察シート ダウンロード(児童書ポータルサイト『ヨメルバ』)
https://yomeruba.com/news/entry-9983.html

■『すごい虫ずかん ひるの虫とよるの虫』
https://yomeruba.com/product/ehon/sugoimushizukan/322012001052.html

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