韓国で40万部を記録したベストセラーが日本に上陸! 精神科医が教える心を癒す「共感」の力

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公開日:2021/6/18

あなたは正しい 自分を助け大切な人の心を癒す「共感」の力
『あなたは正しい 自分を助け大切な人の心を癒す「共感」の力』(チョン・ヘシン:著、イ・ミョンス:協力、羅一慶:訳/飛鳥新社)

 人の心は、天気のようなもの。暖かい日差しが降り注ぐ日もあるが、雨が降ったり大嵐になったりすることもある。特にコロナ禍の今は、心がふさぎ込んでしまうことも多い。そんな日々の中で、自身や大切な人の心を守るため、私には何ができるのか……。

 そう思った時、ぜひ手に取ってほしいのがまったく新しい心の治癒法が学べる『あなたは正しい 自分を助け大切な人の心を癒す「共感」の力』(チョン・ヘシン:著、イ・ミョンス:協力、羅一慶:訳/飛鳥新社)。本書は、韓国で40万部を記録した大ベストセラーだ。

 著者のチョン氏は精神科医として、これまでに1万2000人以上の心と向き合ってきた。しかし、ある時、投薬治療中心となっている現代の精神科医療に疑問を持ち、精神科医としての在り方にも迷ったという。そうした中で気づいたのが、共感が心の治癒に繋がるということ。本書では感覚的に理解できる豊富な事例を交え、共感の治癒力を解説。自分や大切な人の心を救うヒントを授けている。

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「忠助評判(忠告・助言・評価・判断)」のない共感は人の心を救う

 突然だが、あなたは「共感」にどんなイメージを持っているだろうか。きっと、相手の話にじっと耳を傾けたり、ただ肯定したりすることを共感だと思っている人は多いはず。しかし、チョン氏は、その人の「心」に目を向け、人生に耳を傾けることこそが真の共感だと語る。

 そのために大切なのが、「忠助評判(忠告・助言・評価・判断)」をしないこと。誰かの苦痛に触れた時、私たちは心が和らぎやすい言葉を送って表面的な共感を示し、痛みを分かったような気持ちになってしまいやすい。

 けれど、そうした時、本当に気にかけるべきなのはどんな言葉をかけるかではなく、相手に「そのままの私」で自分の話をさせてあげること。響きのいい言葉に頼らず、「今、あなたの心はどういう状態?」や「どれくらい苦しいの?」というストレートで温かい質問を投げかけることこそが、実は心を救う第一歩になるのだ。

 なお、こうした対話は相手に共感する過程で自分の深い感情も刺激されるため、自身の傷と向き合うきっかけにもなる。

 本当の自分を気にかけ、同じ目線で苦しみと向き合ってくれる人がいる…。その事実は、何よりも効く特効薬になり得るのだ。

誰のどんな「心」も常に正しいと認める

 共感することが大切なのは分かったけれど、誤った行動を取った人に対しては、やっぱり注意や警告をしたほうがいいのでは…? そう考える方も、おそらくいるだろう。

 しかし、チョン氏は相手の考えや判断、行動がたとえ間違っていたとしても、その人の「心(感情)」は常に正しいと断言。実際に起こした行動と「ありのままの相手」は別物であると考え、裏にある「心」に着目していこうと訴えている。

 例えば、深夜徘徊をする未成年の行動は非行と捉えられることも多いものだが、その裏には「心」を気にかけてもらえない寂しさがあったり、誰にも共感してもらえないという不満が隠されていたりすることもある。

 だから、同意できないような行動を相手がした場合でも、「あなたの心は正しい」とまずは受け止め、実行に至った「それなりの理由」を慮り、相手の心を慎重に理解しようとしていくことが大切なのだ。

 こうした共感力は生まれ持ったものではなく、学んでこそ身につく力。本書には親子関係の修復法や我が子との向き合い方も詳しく綴られているので、紡ぎ直したい絆に悩んでいる方も手に取り、心を晴れさせてみてほしい。

 病院の診療室で導き出されたのではなく、底なし沼でもがく人々の日常にチョン氏が寄り添ってきたからこそ生まれた本書は、大切な人や自分の心を蘇生できる行動指南書。ぜひ、涙溢れる事例を参考にしながら、心の救い方を考えてみてはいかがだろうか。

文=古川諭香

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