妊娠中に夫が浮気……訴えるべき? 女性弁護士による、これだけは知っておきたい男女トラブル対処法

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公開日:2021/6/19

これだけは知っておきたい男女トラブル解消法
『これだけは知っておきたい男女トラブル解消法』(三輪記子/海竜社)

 きっかけはささいな諍いだったのに、いつの間にか大きなトラブルになっていた……。長い人生の中でそんな経験をしたことがある人も多いはず。『これだけは知っておきたい男女トラブル解消法』(三輪記子/海竜社)は、著者の三輪記子弁護士が“女の子が生きていくときに、覚えていてほしい法律のこと”というテーマで、さまざまなトラブル対処法を綴った法律バイブル。本稿では同書に登場する、女性が直面しがちな男女トラブルの一部を紹介します。

夫婦トラブル:妊娠中、夫に浮気された

 昨今、芸能人の不倫報道が絶えませんが、浮気をするのは芸能人だけではありません。相談者は20代後半で現在妊娠中の女性。なんでも、彼女の夫が同僚の女性と浮気しているという話を人づてに聞いたそうです。

「私の妊娠をきっかけに夫が遊び始めたことも知り、裏切られたという気持ちで一杯です。
 また、身重の妻がいる既婚者と関係を持った相手の女性に対しての怒りが収まりません。夫だけでなく彼女に対しても慰謝料を請求できるでしょうか?
 訴訟を起こすべきか、和解金をもらって矛を収めるか……どうすればいいでしょうか?」

 相談者の怒りがにじむこの質問に対し、三輪さんは「さぞ傷ついていらっしゃることでしょう」と言葉をかけつつ、以下のように回答しています。

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「相手が不貞行為を認めて和解に応じるなら、裁判よりも和解をおすすめします」

 裁判で勝訴するには、夫と浮気相手が不貞行為をしているという明確な“証拠”が必須。三輪弁護士は「人づてに聞いた」という情報だけでは、不貞の証拠として十分とはいえない、と話します。

「いきなり裁判を起こすのではなく、まずは不倫相手の女性に慰謝料を求めて、相手が自主的に不貞行為を認めて和解に応じるということであれば、和解に応じてもよいと考えます」

 証拠もなしに裁判を起こしても、勝訴判決を得るのはなかなか難しい、とのこと。仮に訴えて裁判が長引けば、出産や子育てに支障が出る可能性もあります。これから産まれてくる赤ちゃんのことを思うと、早期解決・回収が望める“和解”という選択がベターなのかもしれません。

「不貞行為の慰謝料請求については、ご本人のお気持ちの部分が大きいので証拠関係をふまえて、訴訟提起をするか任意交渉からの和解にするかも含めて弁護士に相談することをおすすめします。(中略)いずれにしてもあなたの気が少しでも晴れることを願います。そして、健康な赤ちゃんを産むことができますように」

 和解の場合でも、慰謝料の妥当な金額設定などわからないことは山積み。ひとりで悩むよりも専門家に相談したほうが最適解が見つかりそうです。

 三輪弁護士は、弁護士になって出会った女性の依頼者たちの多くが、傷つき、打ちひしがれて相談に来る、と冒頭で綴っています。そうした経験からか、彼女の回答ひとつひとつに相談者の心情を思いやる一言が添えられているのが印象的でした。

 恋愛、仕事、婚約、夫婦、離婚など、多くの人が抱える悩みに法律とともに向き合う同書。女性のみならず、男性にもぜひ手にとってほしい一冊です。

文=とみたまゆり

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