未来のエネルギーとどう向き合うか、その答えを探して

PHP研究所

2012/8/23

地産地消のエネルギー革命 もう原発には頼らない

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : PHP研究所
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:BookLive!
著者名:黒岩祐治 価格:650円

※最新の価格はストアでご確認ください。

「これまでエネルギー政策は、安全保障の観点から国家・政府の管轄の問題であり、それを補完することが地方の役割であり」(本書第1章より)、地方がエネルギー政策決定に直接関与することはなかった。しかし福島第一原発事故によって状況は大きく変わった。原発事故は地域に取り返しのつかない深刻な事態をもたらし、原発が立地する自治体はもちろん、エネルギーを使うすべての人に、原発のあり方を問い、これからエネルギーとどう向き合っていくのか、その答えを迫ることになった。

原発、火力、水力・太陽光・風などの再生可能エネルギー…、どのようなエネルギー構成なら自分は折り合いがつくのか、それを少しは気にしながらこの本を読んだ。著者は、「全県400万戸のうち200万戸にソーラーパネルを」をマニフェストに掲げ知事になった黒岩神奈川県知事。本書は知事就任後、自治体としてエネルギー問題をどのように考え、どのようなエネルギー政策を推進していくかその方向性まとめた、知事の描くエネルギー未来だ。

同県が推進するエネルギー政策は「かながわスマートエネルギー構想」と形容され、2020年度までに電力消費量に対する自然エネルギーを20%という独自目標を設定。「脱原子力発電に対応した代替エネルギーの普及」「環境に配慮したエネルギーの普及」「地産地消の分散型エネルギーの普及」を原則に、政策スローガンに「創エネ・省エネ・蓄エネ」を掲げている。上記の「200万戸にソーラーパネルを」(プロジェクト名は「かながわソーラープロジェクト」)は、創エネを担う具体策のひとつだ。その実現へ、低金利ローンと大量発注による太陽光発電装置の低価格化により、各戸の経済的負担を軽減する「かながわソーラーバンクシステム」を整備。「自分で使う電気は、自ら発電」、各戸へのソーラーパネル設置を積極的に支援している。200万戸にソーラーパネルが達成されると、その年間の発電電力量は原発1基分に相当という。このように、神奈川を太陽光発電のモデル県へ、エネルギーの中央集権から地域分散へ、神奈川からエネルギー革命の実現が本書の到達点だ。

さて自分はどうする。原発事故が起こるまで、原発の数も原発依存度も、エネルギー自給率も、電気料金や発電・送電・配電・小売の仕組みも、電力に品質があることも、なにも知らなかった。原発の存在にもまったく疑問をもたず、当たり前のようにその恩恵にあずかってきた。その意味で電力会社の片棒かつぎの加害者、共犯者、それと原発の被害者になることは拒む矛盾した気持ちの解消を求めれば、即刻世界中の原発停止になる。しかし、それですべてが解決するわけではない。矛盾は矛盾のまま忘れずに、とりあえず電球をLEDに交換、節電することにする。


目次。神奈川県のエネルギー政策だけではなく、原発の経緯、火力、再生可能エネルギーの問題点など、エネルギー全般への言及もあり内容は豊富

「全県400万戸のうち200万戸にソーラーパネルを」を目標にする「かながわソーラープロジェクト」(第1章から)

神奈川県川崎市の臨海部には、国内最大級バイオマス発電所やメガソーラー、さらにLNGコンバイドサイクル発電所など多様な発電所が立地している(第3章から)