庭の「草取り」って大変……! そう思っている人は、少し「雑草」の見方を変えてみては?

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公開日:2021/6/24

マンガでわかる 楽しい草取り
『マンガでわかる 楽しい草取り』(西尾剛:著、坂木浩子:イラスト/誠文堂新光社)

 コロナ禍でいわゆる「おうち時間」が増え、さまざまな趣味に打ち込む人も少なくないだろう。DIYが人気のようだが、家庭菜園など植物の栽培に勤しむ人の話も割と聞く。しかし、植物を育てていると必ず直面するのが「雑草」の問題。まあ、好きで育てているならまだよい。しかし庭のある一戸建てに住んでいる人などは、勝手に生えてくる雑草相手に一年中、格闘しなければならないのだ。私も実家在住時、親に労働力として駆り出されたものである。それは決して楽しい思い出ではなく、できればあまりやりたいとは思わない。そんな中で見つけたのが『マンガでわかる 楽しい草取り』(西尾剛:著、坂木浩子:イラスト/誠文堂新光社)。草取りが楽しいなんて本当にありうるのか!? 実に興味を惹かれるので、思わず手に取ってみた。

 本書の冒頭に掲載されている漫画にもあるように「草取りが楽しいわけないじゃん」というのが、およそ草取り経験のある人が抱く思いであろう。しかし「病は気から」というように、草取りに対してもネガティブな姿勢ではなく、もっと前向きに取り組むことができれば、少しは楽しさが感じられるかもしれない。本書はそういった草取りを「楽しめそうな」アドバイスを掲載しているのだ。では、どのような部分を楽しめばよいのか、いくつか紹介していこう。

雑草の種類を覚えてみよう

 道端に生えている雑草を見て、「これはこういう草だ」と解説できる人は専門家でもなければほとんどおるまい。そして草取りに関しても、自分が処理している草がどういう種類のものか理解している人は多くないだろう。だから黙々と作業するしかないため、苦痛なのだ。しかし、である。ひと口に「雑草」といってもその種類は非常に多い。中には食用となるものもあれば、薬草として役立つものもあるのだ。

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 例えば私が幼いころ、厄介な腫れ物に悩まされたことがある。そのときウチの庭から採取した「ドクダミ」の葉を患部に貼り付けたところ、たちどころに治ったことを今でも覚えている。「春の七草」に数えられる「ハコベ」や「ナズナ」などもよく知られる雑草。こういった雑草の種類を覚えておけば、健康あるいは食生活に役立てられるかもしれないのだ。もちろん知的好奇心として雑草を「識る」というだけでも、草取りをただ漫然と作業をするよりは「楽しみ」に転化できそうではある。

便利な道具を利用しよう

 私が家の手伝いで草取りに駆り出された際、装備品といえば軍手のみであった。そしてどのような雑草に対しても、愚直に根元から引き抜くという戦法だけ。中には強く根を張る雑草もあり、力任せに引き抜けば大量の土とともに後方に転倒し、泥だらけに……なんてことは「草取りあるある」かもしれない。しかし万事この状況では、イヤになるのは自明の理というものだ。強く根を張る雑草ならば、引き抜くよりは鎌などで短く刈るほうが手早くてよいはず。また草取りの範囲が広域に及ぶならば、芝刈り機や草刈り機を使うことをオススメする。

 他にも、栽培植物の間に生えていて取りづらい雑草なんかもあるだろう。そういうときは高枝切りバサミを利用するのも手だ。雑草の種類や状況によって作戦をいろいろ考えるようになれば、ある意味で草取りを楽しんでいるといえなくもない……かもしれない。

 本書では「草取り」と表記しているのでそれに準じているが、私がこれまで用いていたのは「草むしり」という言葉であった。よく考えれば、この表現がスデにネガティブな気がする。最初から後ろ向きな考えでは、楽しく作業などできるわけがない。本書を読んで感じたことは、とにかく「草花に興味を持とう」ということだ。雑草であっても、春には春の、秋には秋の花を咲かせるものもある。それを感じられる余裕があって初めて、草取りを楽しいと思えるのかもしれない。

文=木谷誠

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