「愛情は年金です」土屋礼央が語る、夫婦円満のためのこころがけ――Amazonレビューも必見!

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公開日:2021/6/27

ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。
『ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。』(土屋礼央/KADOKAWA)

 6月2日に放送された『ホンマでっか!?TV 2時間SP』で、「どうすれば妻の地雷を踏まずに夫婦円満に過ごせるか」という趣旨で集った夫の立場であるゲストたちが、めいめいに体験談を披露していた。そんななか「妻の家に遊びに行く、ゲストトークをしに行くつもりで家に帰る」など徹底した低姿勢から専門家に「離婚はしないけど浮気はする」と言われてしまった土屋礼央さん。いやいや、そんなことないですよ! これを読めばわかりますって!! と強く言いたくなったのは、土屋さんの最新著書『ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。』(KADOKAWA)を読んでいたからだ。

 雑誌『ダ・ヴィンチ』に連載されていたお悩み相談から、家族をテーマに絞って集め、書籍化した同書。まずなにがおもしろいって、Amazonのカスタマーレビューに〈ここに著者本人は書いてはいけないとはどこにも書いていなかったので自分でレビューしてみるスタイルでお届けします。〉という一文からはじまる投稿を土屋さん自身がしているところなのだが、それはおのおの、検索して読んでいただくことにして。

「旦那の家事のクオリティが低すぎてイライラする」「子供が生まれてから、妻に理不尽なことで怒られる」「妻と喧嘩して険悪になることのくりかえしで疲れた」など、それぞれ事情はあれど「あるある~~~!」とうなずきたくなるお悩みの数々に、自身の結婚生活をふりかえりながら答えていくのだが、おそらく独身者でもパートナーのいない人でも参考になるんじゃないかと思う。なぜなら本書で語られるのは徹底して、“いかに自分と相手を責めずに、ストレスのない方法で状況を改善していくか”で、すべての人間関係に通じる発想の転換ばかりだからだ。

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 土屋さんは決して、一方的な低姿勢で妻におべっかを使っているわけではない。くだんの「ゲストトークをしに行くつもりで家に帰る」も、仕事が終わって帰宅早々妻の機嫌が悪く話を聞いてもらえない理由を考えたとき、〈今日1日のことを愚痴りたいのは妻も同じ〉〈こちらの話を聞きもせず「俺サァ……」なんて話しだしたらイライラするに決まってます〉と気づき、自分がそうしてほしいのと同じようにまずは妻の話を聞こうと決めたということなのだ。そこで会話がはずめば、自分の話もあとから聞いてもらえるのだから、いいじゃないかと。

 土屋さんの思考はシンプルで、常に「相手の立場に立ってみる」ということなのだけど、これがなかなか難しい。たいていは「自分だったらこうする」という主観を消すことができず、相手が本当になにを感じているか悟ることができないからだ。「妻に褒めてもらいたいなら、まず些細なことでもいいから自分が褒めましょう」「愛情は年金です。引き出せないのが難点だけど、先々のために積み立ててにやにやしよう」といった、一見テクニックに聞こえる助言はすべて、思いやりから生まれている。

 そして土屋さんがそう思えるのは「私だって食器洗いに不服はあるけど、少しずつ上達しているし、長い目で見ればとりあげるよりずっと洗い続けてもらったほうがいい!」と見守ることを知っている妻あってのこと。「そうは言っても理不尽じゃない!?」という問題についての試行錯誤も本書にはたくさん描かれているので、大切な人との関係に悩んでいる人はぜひとも手に取ってみてほしい。

文=立花もも

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