タスク管理はデジタル・アナログどっちがいい? リモートワークで「タスクを管理するタスク」すら億劫になっている人へ

ビジネス

公開日:2021/6/21

『時短と成果が両立する 仕事の「見える化」「記録術」』(谷口和信/明日香出版社)
『時短と成果が両立する 仕事の「見える化」「記録術」』(谷口和信/明日香出版社)

 リモートワークをしていると、自分や同僚のタスクが見えにくくなる。仕事が終わらずズルズル自宅で残業してしまうが、具体的にどの仕事に時間をとられているのかはよくわかっていない。そんな状況に陥っている方は多いのではないか。コロナ前に比べ、「タスクを管理するタスク」すら億劫になっていたりはしないだろうか。

 本稿で紹介する本書『時短と成果が両立する 仕事の「見える化」「記録術」』(谷口和信/明日香出版社)は、仕事でもプライベートでもタスクを「見える化」することで、効率よく動き成果を出すための本だ。漫然とタスクをこなしていると、ムダな部分に気づかず、時間切れになってしまうことがある。そんな悩みを解決する、著者の「見える化」メソッドを見てみよう。

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行動記録がムダをなくす

 著者が推奨するのは「行動記録」をつけることだ。仕事であれば、会議の時間は把握しやすいが、資料や議事録を作る時間は「なんとなく」でやっていないだろうか? 目標時間を決めて作業し、実際にどれくらいで完成したかを記録しよう。そうすれば、何にどれだけ時間をかけているかがわかり、おのずと費用対効果の少ないタスクが明らかになる。

 どうしても時間をかける必要があるタスクも、作業時間がわかれば、次の計画を立てるときに役に立つ。新しい仕事をもらったら、タスクを分解して合計時間の見積もりを出しておこう。そうすれば、別の仕事が振られときにも調整がしやすく、個人のタスクが肥大化することも防げる。タスク分解のやり方は、付箋を使ったものやWBS(Work Breakdown Structure)の手法を本書で紹介しているから、ぜひ参考にしてほしい。

タスク管理はデジタル・アナログどっちがいい?

 実際のタスク管理は、どんなツールでやるのが効率的なのか。よく話題になるのは、デジタル派かアナログ派かという問題である。筆者の場合は、会社の業務はOutlook、副業の〆切やプライベートの予定はGoogleカレンダーと連携したToDoリストを使っている。100%デジタル派だ。とはいえ、不便な点もある。たとえば、スマホの電源が切れたら予定はわからない。

 著者は、アナログとデジタルの「いいとこどり」を推奨している。デジタルのメリットは定期的(週次のMTGなど)を1度で設定できたり、予定の〇分前にリマインドを通知する機能があり手間が省けること。また、検索もできるので、過去のMTGの資料をすぐに探せたりもする。

 一方、アナログのメリットは、「柔軟性」だ。デジタルのアプリはそれぞれの用途で進化しているので、ぼんやりした思考の整理などは向いていない。たしかに、筆者も、複雑な企画やデータ集計を行うときは、まずは頭を整理するために紙に書くことがある。どちらにもメリット・デメリットがあるので、自分のライフスタイルに合わせて使い分けよう。

 本書は、こうした日々のタスクのための記録術にとどまらず、中長期的な未来に向けても「見える化」を勧めている。めざす将来像とそれまでの行動をタスク分解して「見える化」すれば、ぼんやりしたイメージが具体的なステップに変わる。「見える化」は明日の行動を変えるための第一歩だ。

文=中川凌 (@ryo_nakagawa_7

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