「ゴミ出し」を“ゴミ袋を所定の場所に運ぶだけ”と思ってない? 『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか』に学ぶ、家事のトラブル解決策

暮らし

公開日:2021/6/23

なぜ妻は「手伝う」と怒るのか 妻と夫の溝を埋める54のヒント
『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか 妻と夫の溝を埋める54のヒント』(佐光紀子/平凡社)

 2022年4月には男女どちらの社員にも「育休を取得するかどうか」の意思確認が企業に義務化され、さらに秋には最大4週間の「男性版産休」も制度化されるという。いよいよ本格的な「イクメン」時代到来の予感。昨今はコロナで在宅時間が長くなったために、育児だけでなく家事にもいろいろ協力する男性も増えているというし、女性にとってはよろこばしい世の中になってきた…と、単純に言いたいところだが、実は夫の家事協力に逆にイライラを募らせている妻もかなり多いのが現実。

『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか 妻と夫の溝を埋める54のヒント』(佐光紀子/平凡社)によれば、ある調査で「家事・育児において困っていること」を聞いたところ、男性の35.8%が「家事・育児に協力しているつもりが、妻から文句を言われることが多い」と回答したという。女性たちのイライラは確実に男性たちに伝わっており、けっこうダメージも与えているのだ。

 せっかく夫に協力する意思があるならば、本来ならうまくやっていきたい…もちろん、妻もそんなことは頭でわかってはいるだろう。でもなぜか、それができない難しさ。本書はそんな夫婦の溝をうめるべく「なぜ夫婦の意識が食い違ってしまうのか」を詳しく考察した上で、「では、どうしたらうまくいくか?」と具体的な行動のヒントにして教えてくれるというありがたい1冊だ。

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 男女どちらにも役立つ内容だが、特に男性はいわゆる「家事」というものの見え方が変わって「なるほど!」と思うことも多いだろう。たとえば、よく夫の家事協力の筆頭にあがりがちな「ゴミ出し」だが、実は「ゴミをまとめて外に出す」以外にもやっておかなければいけないことがある。

1 各種類のゴミの日を覚えている
2 ゴミを出しに行く
3 ゴミ箱にゴミ袋をかける
4 ゴミ袋のストックを把握する
5 ゴミ袋の大きさを知っている
6 ゴミ袋の補充

 妻は大抵1から6をすべてこなすが、夫の場合は得てして2だけになりがち。これで「やった!」とドヤ顔されるから、妻がイラっとするのだ。とはいえ、それでもピンとこない男性のために、著者は上記を仕事の状況と対比して説明する。

 たとえば会議で打ち合わせをするとなったら、

1 会議の日程を調整する
2 会議室を予約する
3 日時の詳細を出席者に伝える
4 会議資料を作成する
5 会議資料を配布する

 といった複数のステップが必要になる。これを後輩に頼んだら「1と2しかやってなかった」となったら会議はできない。それなのに「ちゃんとやりましたよ」と言われたら、「あてにならないなー」と思うのも仕方ないだろう。それでドヤ顔されようものならムッとするのも当たり前。残念ながら多くの家事協力のシーンにこうした認識の違いがあり、男女の溝は深まってしまうというわけだ。

 あるとき「夫を後輩だと思って仕事を覚えてもらうのはどうか」と著者が働く女性に提案したら、「後輩だったら、仕事を覚えてもらって、一人前になってもらわなくちゃ。そう思うと家事の振り方が変わってくる」とポジティブな反応が返ってきたという。逆もまたしかりで、夫も「妻は先輩」と思えば接し方が自ずとわかってくることもあるかもしれない。

 お互いをもう少し「理解」できれば、理想のパートナーシップも夢ではない。本書を参考に、まずは我が身を振り返ってみてはいかがだろう。

文=荒井理恵

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