大江戸の知恵がいっぱい、漫画でサクッと

公開日:2012/8/24

大江戸食べコロジー

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : リイド社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:ラズウェル細木 価格:500円

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江戸モノ、定着の人気分野として本屋さんでも様々な種類の江戸本を見かけます。これは江戸本の中でも、最もライトで読みやすい、「江戸ってどんな時代だったの?」という子供の素朴な疑問に答えてくれるような1冊。191ページの漫画というのは、電子書籍だとなぜか紙本の3倍ぐらいの速度で終わってしまう感。少し物足りないぐらいな長さです。

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長屋にひとり住まいをするようになったお侍、新兵衛を主人公に、ひとり暮らしのノウハウを学びながら、江戸がいかにエコな街だったかを学んで行きます。江戸前寿司が気の早い江戸っ子の好みから生まれたのは有名な話ですが、当時馬や牛の引く車の制限があったり、ゴミ処理をすでに分別で行っていたり、長屋にはその日の新鮮な食品のほかに、常に「治し屋さん」が存在して、鍋カマ、桶のタカから茶碗の修繕までして回ったりと。なんで江戸のまま、時代が止まらなかったかなぁと残念になるような知恵が満載の土地だったんですね。米ぬかや、かまどの灰までも売っていたというエピソード。食べ物に関しての記述には江戸好きでなくても感心することばかりです。

日本の職人文化や器用さのルーツもこの時代にありき。読後「江戸の文化を宣伝したい」という気持ちになってしまう。当時の江戸は世界最大の都市でありながら、最大限の衛生と沢山の生活の知恵、エコロジーに基づいた生活を維持していたわけで、それが損なわれてしまったのは本当に残念なこと。タイムトリップしたくなることはなはだしく。小さな知恵、民間の伝承などまだまだ現代でも使える技は多いです。ぜひ参考にしたいもの。それにしても、長屋の朝ごはん、魅力的すぎです。


エコな町最前線だった江戸。当時の「大都市」もゴミ問題はあったのでしょう

熟寿司(なれずし)。臭いとわかっていても食べたくなる

馬糞を拾う職業も!

しょうゆは当時高価な食べ物。しょうゆ文化は思いのほか遅くに始まったのです

焼いたうめぼし+しょうが+番茶。風邪でなくともおいしそう…
(C)ラズウェル細木/リイド社