冴えない少年がエリートイケメンに変貌。一方、優等生の美少女は30歳無職になっていて……? 韓国ドラマ『彼女はキレイだった』

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更新日:2021/7/10

彼女はキレイだった
(C)2015 MBC

 ずっと地味だった女の子が、ある日メイクやファッションで垢抜けて、周りを驚かせる、といったシーンはラブストーリーで王道の展開だ。では、逆に、かつてキレイだった女の子が、周りが見向きもしない残念な容姿になってしまっている、という展開はどうだろうか。貧乏になってしまってみすぼらしい格好になった、というならまだよく聞く物語だが、容姿まで変わってしまうという話はなかなか聞かない。

 現在日本でリメイク版が放送されている韓国ドラマ『彼女はキレイだった』は、かつてお金持ちで優秀でキレイだった女の子が、その後父親の会社が破産し、貧乏暮らしへ転落。母親似だった美しい容姿も、いつの間にか父親譲りの遺伝子から残念な顔へと変貌。そんな恋も就職も無縁な30歳無職の主人公、ヘジン(ファン・ジョンウム)の初恋をめぐる物語だ。

 就職は失敗続きでレストランのアルバイトをしているヘジンは、美しい容姿をもつハリ(コ・ジュニ)と2人で暮らしている。彼女たちはかつて隣同士で暮らしていた親友で、すっかり容姿も環境も変わってしまったへジンに対しても、ハリの友情は変わらず健在だ。しかし、そんな2人の生活は、ある1通のメールによって少しずつ変化をしていく。

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 メールの送り主は、へジンが幼少期の頃に同じクラスに転入してきたソンジュン(パク・ソジュン)からだった。親の仕事で海外に引っ越し、長らく会っていなかった彼が、韓国に帰国してくるという。ソンジュンは、へジンにとっての初恋の相手だった。思わず浮き足立つへジン。ディナーの約束をし、待ち合わせに向かう。しかし、そこに現れたのは過去の姿とはまるで違う彼の姿だった。

彼女はキレイだった
(C)2015 MBC

 へジンの記憶の中にいるソンジュンは、ぽっちゃりして内向的でいじめられがちな少年だった。しかし、目の前に現れたのは、高身長でスラッとしたスタイルの美しい青年だ。驚くへジン。そして、そんな彼女だと気がつかずに通り過ぎてしまうソンジュン。そうなのだ、彼の記憶の中にいるへジンは美しくて格好いい女の子。まるで変わり果てた自分の姿が恥ずかしくなったへジンは、そこから逃げ出し、そして友人のハリに自分のフリをしてくれ、と泣きつくのだった。

 たった一度ヘジンのフリをして、あとは「留学をする」と言ってお別れをする計画だった。しかし、ヘジンが念願の就職を果たした雑誌の編集部に、ソンジュンが副編集長として入ってくることで、2人の新たな関係が始まってしまう。彼女が初恋の相手とは知らずに、仕事ができない彼女にキツく当たるソンジュン。初恋の相手だとわかってはいるものの、彼の理不尽な仕打ちに我慢ができないへジン。果たして2人は、今後どのように仲を深めていくのか。

彼女はキレイだった
(C)2015 MBC

 かつてはキレイだった女の子が残念な容姿になってしまった上に、当時は残念だった男の子がイケメンになって再会をする、というこのラブストーリー。それだけでも展開が読めずに面白いというのに、ハリがヘジンのフリをして間に入ることで、物語はさらに先が読めなくなっていく。複雑な人間関係の相関図も、テンポのいい演出で無理なく頭に入ってくる。

 また、主演の2人が『キルミー・ヒールミー』で共演しているのも注目だ。主役として熱演を見せたファン・ジョンウムはもちろん、彼女の兄役であり作品の重要な役どころをになっていたのがパク・ソジュンだった。最近では『梨泰院クラス』の主演などでも話題になったパク・ソジュンだが、『キルミー・ヒールミー』で彼に惚れた人も多いのではないか、というくらいに好演をしていたのが印象的だった作品である。そんな2人が、今度はラブコメで初恋の相手を演じるのだから、『キルミー・ヒールミー』のファンにとってはまたちがった面白みがあるだろう。

 ヘジンとソンジュンのいく末はもちろん、彼らに想いを寄せるようになるハリとキム・シニョク(チェ・シウォン)もまた憎めないいいキャラで、つい彼らの幸せも祈ってしまう。登場人物の造形もポップで、明るいストーリー展開は、気軽に見れるラブコメとしても最適だ。

文=園田もなか

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