子どもをネットの危険から守るには!?  ITリテラシーを学べる絵本『おしたら おしまい』

暮らし

公開日:2021/7/17

おしたら おしまい
『おしたら おしまい』(永田浩一:作、初見寧:絵、森のえほん館編集部:編集、森のえほん館:発行/ポプラ社:発売)

 ちょっと子どもがぐずったとき、スマホやタブレットを見せて急場をしのいだ経験、あなたにはないだろうか。いまや絵本や幼児用教材もアプリ対応しているし、きちんと使えばデジタル機器は頼もしい育児のパートナーだ。とはいえ好奇心旺盛な子どもたちは、ちょっと慣れてくるとひとりでいろいろやりたがるもの。「ここ以外は触っちゃダメ!」と教えはしたものの、知らないうちに思わぬ場所をクリックされてヒヤヒヤした経験がある方もいるかもしれない。子どもにデジタル機器を使わせるのはそうした危険と隣り合わせであり、やはりちゃんと教えておくのは大事なことだ。

 でも、どうやって?――そう思ったママ&パパにおすすめなのが絵本『おしたら おしまい』(永田浩一:作、初見寧:絵、森のえほん館編集部:編集、森のえほん館:発行/ポプラ社:発売)だ。カラフルなのにちょいダークなイラストが子どもの好奇心をそそるこの絵本、実はネットにふれはじめたばかりの小さな子どもたちに向けて「ネット社会の恐ろしさ」を伝えてくれる画期的な一冊なのだ。

おしたら おしまい

 主人公は、ある日「しらないボタンはぜったいおしちゃダメよ!」とマムからタブレットをわたされた少年・コーク。さっそく絵本アプリを見はじめると、マムに押しちゃダメといわれたボタンが光って謎の虫・バグ大王に「おしちゃえよ!」と誘われてしまう。

advertisement
おしたら おしまい

 ここでマムとの約束を思い出せればいいのだが、子どもはなかなかそうはいかない。「少しなら大丈夫だろう」とコークはボタンを押してしまい…と、絵本はネットにありがちな「ヤバいボタン」(怪しいリンクなど)を押すとどうなるかを描く。

 現実にはウィルスに感染してしまったり、カード情報などの大切な個人情報が抜かれてしまったりするわけだが、絵本の中ではそれをわかりやすくデフォルメ。まさに「押したらおしまい!」とばかり、小さな子にもわかるように「スマホやタブレットは気をつけないと怖い世界に連れてかれちゃうよ」とメッセージするのだ。とはいえラストにはほっとする展開が待っていて、ひと安心。この絵本を一緒に読んだお子さんにはぜひ、ママ&パパからも「ルールを守って使えば大丈夫!」と声かけしてあげてほしい。

 本書の作者は日本でも有数の規模を誇るIT企業グループの名誉会長もつとめる永田浩一さん。いまや小学校の教育でもパソコンやインターネットが利用されるようになりITリテラシー教育がますます重要になる中で、その“はじめの一歩”にしたいと本書を書いたという。また、本書は英語と中国語の三か国語で表記しておりグローバル教育のきっかけにもなる1冊だ。

 また、本書は500冊以上の絵本を収録する人気絵本アプリ「森のえほん館」でも配信されており、アプリでは声優による読み聞かせをBGM付きで楽しめる。普段は絵本を一緒に読み聞かせして、家事に集中したいときや外出中に子どもがぐずったときはスマホやタブレットで絵本を自動再生するなど、紙の絵本とアプリの使い分けがおすすめだ。

おしたら おしまい

 なおコークの家族やバグ大王以外にも個性的なキャラクターが多数登場し、今後はシリーズの続編も「森のえほん館」のアプリと紙の絵本の両方でリリース予定とのこと。本書で「ネットの怖さ」を確認したら、アプリで「ネットの楽しさ」についても大いに教えてあげる…そんな合わせ技もまさにITリテラシー教育のよき実践。デジタルネイティブな子どもたちをすくすく育てるためにも、親として早めに意識しておいてはどうだろう。

文=荒井理恵

あわせて読みたい