ゆるーく、ゆっくり過ぎてゆく島時間のようなコミック

更新日:2012/9/4

あっちこっち1巻

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 芳文社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:異識 価格:864円

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正統派4コマ漫画です。はじめにお断りしますが、女の子がかわいいであるとか、どきっとするような展開があるとか。そういうのを期待して読むものではないですよ。でも、やたらと刺激的なものがあふれていて、疲れてしまった人には優しいコミックです。

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旅行ガイドブックなどで、“島時間”という単語を目にしませんか? いい響きだね、島時間。すっと入っていけて、まどろんでしまうような印象ですよ。本作もそんな作風でした。「さあ、分析するぞ!」と意気込んで読み始めると、タイトルの通り人物表と本編を行ったり来たり。まさに、あっちこっちです。でもちょっと力を抜いて、のんべんだらりと眺めていると、いつの間にか名前や相関図を意識しなくても読み進めている自分に気づいたりする。

4コマですから。4コマ目で、まあオチはつく。でも話自体はその前後でゆるくつながっている。形式は『けいおん!』とか、あのタイプですよ。でも連続性は、いい意味でもっと薄い。途中から読んだって、数話も読めば流れは何となく分かってくるはず。いや。分からなくてもいいのかもしれない。全編を理解しないと、次の話について行けないとか、そういうたぐいのものではないからね。「ちょっと今のオチは分からなかったなぁ」というのがあっても、「まあ、次読むか」で済んでしまう心地よさ。沖縄っぽくいうなら、「てーげー」ってやつですか。

物語っていうのは、人間(登場人物)の変化だと思っている。でも、4コマ漫画は別。『サザエさん』のいくらちゃんがいつまでもしゃべらないのと同じで、オチはつけるけど、事件は起こさないし解決もしない。肩こりに効果があるかどうかは知らないけれど、精神が疲弊してしまったならこういうコミックを読むのもありだと思うよ。


ここで分からなくても、まったく気にする必要はない

巻頭のカラーページはとても鮮やかできれいですよ

たまに、こんな変則的なコマもあったりする

連続四コマとでもいうのか、話が続くタイプでも…

次のページではちゃんとオチがついている