あなたの周りにもひとつはあるはず

2012/9/4

嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : イースト・プレス
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:内田樹 価格:800円

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本書は、アメリカの一般人が寄稿したショートストーリーを紹介するアメリカのラジオ番組『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』の日本版。選者が内田樹と、高橋源一郎というので、なかなかの秀作が揃っているのではと思い、購入しました。

選者がはじめに言うように、「様々な人が経験した“嘘みたいな本当の話”を集めてみたら、そこから生き生きとした日本人の生活実感がにじみ出てきて、“日本というのはどんな国か”が浮かび上がってくるんじゃないかと思ったのです」という。この着眼点がとても魅力的。普段私たちは多くの人と付き合い、情報を交換しているにもかかわらず、普通の話ですら聞き逃していたり、普通の人が実はすごい体験をしているということを見逃していたりする。それを公募し、選考し、集めたのがこの1冊だ。

選者が言うように、読んでみると日本人というのはなるほどに、均一な民族だ、と痛感するのが第一印象。アメリカ版を私は読んでいないけれど、人種や民族、属する文化などでショートストーリーの中に如実に個性が浮き上がっているのだという。それに反して、日本版は、文章や文体にも大差がなく(実は、これも日本の均一なる教育のレベルのなせる技かと思う)、同じオチや、おとしどころにほっとする。様々な人々の違った体験を読み続けても、あぁ、同一民族だなぁ。と落ち着く気持ちが、もっとも日本らしいところかと。

嘘のような本当の話も、いろいろなジャンルに分けて公募され、「そっくりな人の話」「犬とねこの話」という想定内のものから、「宙に浮かんでいたものの話」「戻ってくるはずがないのに、戻ってきたものの話」などジャンルを見ただけで実に楽しい。ときに、長編小説よりも機知に富み、教訓を含んだ話が1ページ、長くて2ページで展開されている。おもしろい。自分の周りの嘘のような本当の話も、見つけてみたくなること請け合いです。これだけのシンプルな内容から、日本人観や、日本の特性をつかみ出して評論する選者のあとがきもおもしろい。年齢性別を問わず、おすすめ。


日本の「嘘みたいな本当の話」は地域性がないと、選者

動物ネタには弱いです。「猿のおじぎ」

なかにはこんなに短いストーリーも。なのに爆笑
(C)内田樹高橋源一郎/イースト・プレス