貴族として生きてきたのに庶民だった!? 妖精のイタズラから始まる元貴族の逆転劇!

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更新日:2021/8/4

貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!
『貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!』(大岩ケンヂ:著、小鳥遊郁:原著、椋本夏夜:キャラクターデザイン/KADOKAWA)

 同じ家族であっても、性格や趣味、特技が似るとは限らない。しかし容姿や雰囲気というのは、たとえ家族からは似ていないように見えても、他人から見るとどことなく「似ている」場合が多い。それだけ、血のつながりというのはそれなりの影響力を持っているものだ。しかし逆に、もし自分が家族の誰とも似ていなかったら。家族との共通点が見いだせず、孤立してしまうとしたら。それはもしかしたら、妖精のイタズラかもしれない――。

『貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!』(大岩ケンヂ:著、小鳥遊郁:原著、椋本夏夜:キャラクターデザイン/KADOKAWA)は、そんな妖精のイタズラによってすり替えられた、貴族と庶民の子どもたちの物語。

 本作品の主人公は、上級貴族の娘として育った少女アンナ・デュ・セネット。セネット一族は代々金髪に美しい翠色の瞳を持っており、魔法の才能にも恵まれている。しかしアンナは栗色の髪に栗色の瞳で、一族が使えるはずの「癒しの魔法」も使えない。そんなアンナに両親は、「私たちとはあまりに違いすぎる」「養子に出したほうがいい」とアンナを見捨てようとしていた。そんな中で唯一味方になってくれたのは、兄であるヘンリー。ヘンリーは両親に対し、「私の妹を養子に出すなんて…! そんな非道な真似はしてほしくないです!」と真剣に怒ってくれたのだ。

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貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!

 そこからのアンナは、兄のあとをついて回った。自分なりに「兄様の恥じぬ良き妹であろう」と一生懸命生きてきた。しかし13歳の誕生日、アンナはある妖精と出会う。そして、実は自分はセネット家の娘ではないこと、生まれたばかりのときに妖精のイタズラによって貴族の赤ちゃんとすり替えられてしまった庶民の娘であることを知らされる。今までずっと貴族として生きてきたアンナは途方に暮れるが、それでも現実を受け入れ、庶民として生きるための練習を始める。それでも、アンナにとっての家族はセネット家。なかなか家族に、ヘンリーに、そのことを打ち明けられずにいた。しかし――。

貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!

 もし、ずっと家族だと思っていた人が実は他人だったら。しかも貴族として生きてきたのに実は庶民で、本当の家族は貧しい暮らしをしていたら。自分がもしアンナの立場だったら、正直に家族に話せるだろうか。自分は庶民として生きていけるのか、大切な兄との関係が破綻するのではないか、とアンナが不安に感じてしまうのは当然のことだろう。だが現実は、アンナの思いなどお構いなしに変化していく。アンナの気持ちと、アンナを家族だと思って全力で守ってきたヘンリーの気持ち。この2つの気持ちは、妖精のイタズラに打ち勝つことができるのか。

 2巻では、庶民として生きてきた貴族の娘アネットとセネット家、庶民となったアンナと実の家族が出会い、それぞれの家の実態、生活がより詳細に描かれる。

貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!

 アンナとアネットはこれからどうなっていくのか、妖精のイタズラを知った時、ヘンリーはそれでもアンナを愛することができるのか、アンナの婚約者であったエドモンド・ルーカスとの関係は――。まだまだ気になることが盛りだくさんの『貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!』。今後の展開も、ぜひとも最後まで見届けたい。

文=月乃雫

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