「誰でもいいからわたしの処女をもらって」処女コンプレックスに悩む26歳が自分にかけた“呪い”の正体は?

マンガ

更新日:2021/8/8

ショジョ恋。―処女のしょう子さん―
『ショジョ恋。―処女のしょう子さん―』(山科ティナ/主婦と生活社)

 2015年に実施された厚生労働省の「出生動向基本調査」によると、20代の2人に1人、30代では3人に1人が“性経験がない女性”いわゆるバージンだそうです。相手があってのことなので性経験の有無は個人の自由。ですが、年齢を重ねるほど自分がバージンであることに悩む人が増えていくとか……。

 現在、ファッション誌『ar』で連載している『ショジョ恋。―処女のしょう子さん―』(山科ティナ/主婦と生活社)は、初体験をせずに26歳になった女性・庄司しょう子さんが主人公の作品です。

 しょう子さんは中高大と女子校に進学し、現在は飲料メーカーでバリバリ働くデキる女。会社では上司に頼られ、後輩からも慕われている彼女には大きな悩みがありました。それは、これまで一度も恋愛経験がない「処女」であること。

advertisement

 彼女は、道行くカップルを見ては「あの子は非処女なんだろうな」と妄想して凹み、女子校時代の友人と飲みに行けば「あんたさ、そのまま死ぬまで処女でいるつもり!?」と、どやされてまた凹む、自分に自信が持てない日々を送っていました。

 そんなある日、日頃のうっぷんと仕事のミス、強すぎる処女コンプレックスが爆発し「もう誰でもいいからわたしの処女をもらってください〜〜〜!」と、道端で叫びだしてしまいます。

「な、なに〜〜! その大胆さがあれば処女も卒業できるのでは〜〜!?」と、読みながらついツッコミを入れてしまいましたが、もちろん彼女はただ処女を捨てたいわけではありません。

 投げやりな言葉の裏には「変わりたい…。身も心も“綺麗”になりたい。恋がしたい」という本心が隠されていたのです。

 彼女の魂の叫びを偶然聞いてしまったのが、しょう子さんの行きつけの本屋で働く書店員の青年・タナカくん。その後、しょう子さんはほぼ初対面のタナカくんに自身が抱える恋愛のトラウマを告白します。

 中学時代に通っていた塾に、気になる男子がいたしょう子さん。しかし彼と話すときはつい“男勝りなサバサバ女子”として接してしまうため、ふたりの仲はなかなか進展しませんでした。しょう子さんが好意を寄せていることが彼の耳に入ると「…は? 気持ちわる…あいつは恋愛とかガラじゃないだろ(笑)。似合わねーじゃん」と一蹴。偶然彼の言葉を耳にしてしまったしょう子さんは深く傷つきます。

 今となっては思春期男子の照れ隠しだとわかるものの、その傷が癒えないまま26歳を迎えたといいます。

 それ以来、自分には恋愛は似合わない、女子っぽいものもNG、周りから「かっこいい」と思われる私でいなければ、と、さまざまな“呪い”をかけながら生きてきたそうです。自分にかけた“呪い”にとらわれて恋ができない。それこそが、彼女が抱える処女コンプレックスの正体なのかもしれません。

 しょう子さんには、処女を捨てる前に自分にかけた“呪い”を捨ててほしい……多くの読者がそう思ったのではないでしょうか。

 そんな彼女が、自分を変えるために応募したのが「恋家プロジェクト」でした。人気マッチングアプリを運営する会社がオーディションで6人の男女を集め、1年間シェアハウスで生活してもらうというチャレンジ企画。彼女はコンプレックスの欄に「処女」と書き、晴れて恋家メンバーに選ばれました。

 しょう子さんに誘われて応募したタナカくんも、恋愛下手男子として参加することに。こうして厳正なオーディションで選ばれた、クセ強めなメンバーでの共同生活がスタート。波乱万丈な日々が幕を開けます。

 満を持して新たな一歩を踏み出した彼女は、処女コンプレックスから脱出できるのか。しょう子さんの奮闘を応援したくなる1冊です。

文=とみたまゆり

『ショジョ恋。―処女のしょう子さん―』をAmazon(Kindle)で読む >

『ショジョ恋。―処女のしょう子さん―』を楽天Kobo(電子)で読む >

『ショジョ恋。―処女のしょう子さん―』をDMMブックスで読む >

あわせて読みたい