3度登場! 唯一無二の少女漫画、ここに極まれり!

公開日:2012/9/8

栞と紙魚子と夜の魚

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 朝日新聞社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:諸星大二郎 価格:432円

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失って初めて気づく、大切さ。コレ、多かれ少なかれ誰しもが経験することではないでしょうか。本巻の表題にもなっている“夜の魚”編の読後感は、正にこの「失って初めて気づく大切さ」でした。

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栞達の住む胃の頭町では、人や物が失われる事がしばしばあります。わりと同級生が行方不明になったりしますし、クトルーちゃんのお母さんが儀式のためにブロック塀やガスタンクを持ち去ったりもします。地味に事件ですが、まぁそこは胃の頭町。魑魅魍魎が跋扈し、妖怪変化と変質者、ムルムルが愉快に暮らす町なので、割合大騒ぎにはなりません。いやはや、今日も胃の頭町は平和である。

しかし、今回の“夜の魚”ではそうも言っていられない程の失踪事件が発生! なんの前触れもなく建造物や人が神隠しに遭うという怪事件が多発し、学校の生徒も半数になるほどです。これにはさすがの栞も「う~ん、困ったわね」です。

その筋に詳しいゼノ奥様の情報を頼りに、夜の海の女王(どうみても貝ヒモ)に捕まっている住民を発見! 何故かみんな魚介類に姿を変えられていました。クトルーちゃんのお母さんは元がアレなので、割と人間に近い形に! きとらさんは人間なのにデストロイヤ幼体のような姿に! バルキリーモードのお母さん(しかもかなり武闘派)とデストロイヤきとらさん(超獰猛)の活躍もあり、無事胃の頭町に平和が戻るのでした…めでたしめでたし。と、栞と紙魚子シリーズならではのスペクタクル譚に纏まっており、妖怪ハンタースタイルのお話とはまた一味違います。

―――しかし、そんなことはどうでも良いのです。クトルーちゃんのお母さんがバルキリーモードから元に戻らなくなってしまうのですよ…。ガーン! ここまで、散々イロモノ扱いしてきたワケですが、気がつくと胸にはポッカリと穴が開いたように…。―――そう、失って初めて、奥さんのあの何かよくわからない形態の大切さを思い知ったのです…。嘆く奥さんに段先生はこう囁きます。「バカなことを言うんじゃないよ。どんな姿をしていても君は君じゃないか」アンタさすがや。


ページ左下の貝ヒモが女王です。鳴き声はピーピー

バルキリーモード! そして、違和感がないデストロイヤきとらさん

おぉ、おいたわしや…