デジタルオールカラーで新たによみがえる「ジョジョ」
更新日:2012/9/10
あらためて、説明するべきなのだろうか。1987年から『週刊少年ジャンプ』で連載が開始され、現在連載中の『ジョジョリオン』に至るまで続き、数多くの名言と、数多くの名シーンを生み出し、漫画作品だけでなく、ゲームや小説など他のメディアにも多大な影響を及ぼしたこの「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの魅力についてわかっている人は数えきれないほどいるはずだ。
しかし今回、あらためてそんなジョジョを紹介する理由。それは「ジョジョ」シリーズが第3部まで電子書籍でオールカラー化されたからである。著者直筆のカラー原画を元に集英社がデジタル彩色をほどこしたものを加えたオールカラー作品となっている。キャラクターはもちろん、背景まで細かく着色されており、数々の名シーンが色鮮やかによみがえっている。原画の美しい構図はそのままに、背景の色の配置にもこだわりが見られ、ファンにも嬉しい仕上がりとなっている。
今回カラー化をきっかけに、あらためて第1巻を読み返してみた。すると、以前は気づかなかったのだが、第1巻で最初にこの物語に姿を見せるのは、ジョジョではなく、ディオのほうであることに気づいた。そのまま、読み進めていくと、物語前半まで、ディオがいかにしてジョースター家を乗っ取ろうとするかといった企みに焦点が置かれ、心理描写についても、ディオの方が圧倒的に豊かに書き込まれていることが分かる。ようやく、ジョジョが主人公らしく動き始めるのは1巻のラストからだ。いったいどうしたことだろう。これはジョジョの物語ではなかったのか。なぜ、前半にこれほどディオが丁寧に描かれるのだろう。
気になったところで、あらためて物語の冒頭を読み返すと、アステカの民族が美女の喉を突き刺し、石の仮面の儀式を行っている場面の最後に、こんなナレーションが書かれているのを見つける。
「この物語はメキシコから発掘された謎の「石仮面」にまつわる二人の少年の数奇な運命を追う冒険譚である!」
そう、「二人」。この二人というのは、もちろん、ジョジョとディオのことだ。つまり、『ジョジョの奇妙な冒険』は、第1部の冒頭からすでに、ジョジョとディオこの二人をめぐる物語であることが宣言されていたのだ。だからこそ、前半ではあえてジョジョの側ではなく、ディオの側が描かれることで、ジョジョの一方的な活躍だけではない、あくまで「二人」によって紡がれる壮大なサーガになることを予期させているのである。
この1巻の布石がシリーズを超えて脈々と、かたちを変えながら続くことを考えれば、感慨深くなるファンも多いはずだ。オールカラー化されたジョジョをきっかけに、あらためて原点に立ち返ってなぜこの物語に魅了されてしまうのかを考えてみてはいかがだろう。
表紙も、もちろんフルカラーで
ディオがさっそうと馬車から現れるシーンも、もちろんフルカラーで
「さすがディオ! おれたちにできない事を平然とやってのけるそこにシビれる! あこがれるゥ!」も、もちろんフルカラーで