ツンデレヘタレイケメンに恋する! 二階堂ふみ×眞栄田郷敦ドラマ原作、ぶっ飛び系少女漫画『プロミス・シンデレラ』は何が魅力?

マンガ

更新日:2021/8/26

プロミス・シンデレラ
『プロミス・シンデレラ』(橘オレコ/小学館)
『プロミス・シンデレラ』(橘オレコ:作)の実写ドラマが絶賛放送中ですが、皆さんご覧になっていますか? 原作は、小学館の漫画アプリ『マンガワン』に連載中の同名作品。累計発行部数が200万部を超える大ヒット漫画です。

 結婚1年足らずで、夫の不倫が発覚した桂木早梅、27歳。そのあとも不運が重なり、一晩でお金も住む家もなくしてしまう……。そこに現れたのが、高校生の片岡壱成。町中で早梅に注意されたことを恨みに思っていた壱成は、その屈辱を晴らすべく、早梅に「リアル人生ゲーム」を持ちかける。崖っぷちの早梅は、一体どうなってしまうのか!?

 ドラマでは、主人公の早梅を二階堂ふみさんが、片岡壱成を眞栄田郷敦さんが演じ、どちらもぴったりはまり役です。あらすじを読んでおわかりの通り、崖っぷちのアラサーバツイチ女性と、性悪男子高校生が織りなす、胸キュンラブコメディです。少女漫画の年の差ラブというと、なんとなく年上男性との恋をイメージしますが、『プロミス・シンデレラ』のメインヒーローは、なんと10歳年下の男子高校生。かなり攻めています。

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 ドラマの視聴者からは、「アラサー女が夢見すぎ」「こんなぶっ飛び設定あるわけない」という声もあるとかないとか聞きますが、笑止千万です。なぜならこの作品は、少女漫画原作。ぶっ飛んだ設定こそ、少女漫画ではないでしょうか。また、なにも我々は、年下男子に振り回されたいわけじゃありません。壱成だからいいんです!! というわけで、『プロミス・シンデレラ』の魅力を深掘りしていきたいと思います。

少女漫画の“お約束”、欲張り全部のせ!

『プロミス・シンデレラ』は、年下男子との恋愛にプラスして、少女漫画の“お約束”をこれでもかというほど盛り込んだ作品です。

少女漫画のお約束といえば、
・2人の出会いは最悪だった…
・気になるアイツは金持ち御曹司!?
・まさかの、いきなり同棲生活スタート!
・心霊スポットで2人きりに!?
・突然の体調不良で、気を失う

 などなどが思い浮かぶでしょう。なんと『プロミス・シンデレラ』は、しっかりすべて取り入れてくれています。タイトルはいろいろな意味に解釈できますが、ひょっとするとこの“お約束”にもかかっているんじゃないでしょうか。もちろんこれだけではなく、初恋の完璧超人、恋敵の妖艶美女も登場します。こんなに設定盛りだくさんなのに、ストーリーはとっ散らかることなく、一貫して”早梅と壱成のラブストーリー“が描かれています。

 これで主人公がティーンだったら、よくある少女漫画ですが、『プロミス・シンデレラ』のヒロインは、アラサーの早梅。ひとつひとつのイベントに、大人の女性としてどう対応していくのか? というのも、見どころのひとつになっています。

やっぱり、ツンデレ×ヘタレ×イケメンが好き

 主人公の早梅に共感できるとか、設定が面白いとか、『プロミス・シンデレラ』の魅力はいろいろあると思いますが、結局、みんな思うところは一緒だと思うんです。壱成がカッコいい。これに尽きますよね。

 早梅に「リアル人生ゲーム」を持ちかける片岡壱成は、金に物を言わせるタチの悪い性悪高校生。物語序盤では、クラスメイトを揶揄し、気に入らないことがあれば友達であろうと暴言吐きまくりの、割とガチのクズキャラです。

 ドラマでは、こうした壱成のキャラに「酷すぎる」という方もいらっしゃるようですが、安心してください。ちゃんと周囲から腫れ物扱いされています。

 こうした壱成の人格は、彼の複雑な生い立ちも関係しているのですが、周りはそんなの知ったこっちゃありません。壱成の身勝手に、仲間も離れていき、ひとりぼっちに。

 そんな壱成を救い出すのが、早梅です。嘘をつかず、正面から向き合ってくれる早梅に、壱成は徐々に心を開いていきます。しかし、もともとの気質から、なかなか素直になれません。ついつい、早梅に意地悪なことを言ったり、嫉妬して、キツく当たってしまったりすることもしばしば。でも、そこがいい。

 泣いている早梅に「気がすんだら帰ってこい」と言いつつ近くで待っていたり、「どうでもいい」と言いながら夜道が心配だから迎えに行ったり、口では冷たいことを言ってても、結局優しい壱成。まさにツンデレ。

 その一方で、いまいちカッコよく決まらなかったり、変なところで恥ずかしがったり、ヘタレな一面も。どんなに大人ぶってても、随所に高校生らしいところが見え隠れします。つまり壱成は、“ツンデレ×ヘタレ×イケメン(以下ツレメン)”という最強の属性なのです。

 類似キャラには、『花のち晴れ』の神楽木晴、『電撃デイジー』の黒崎祐あたりが思い浮かびます。この辺にピンときた方は、ぜひ『プロミス・シンデレラ』も読んでみてください。そういえば、”ツレメン“の元祖は誰なのでしょうか。ベジータですか? ヘタレではないので違いますかね?

 まだまだ続く『プロミス・シンデレラ』。最新刊13巻(小学館刊)は8月11日に発売されたばかり。筆者はお試しで読んで、その後全巻大人買いしました。少女漫画っぽい少女漫画が読みたい、新しい”ツレメン“に出会いたいという方におすすめの作品です。ドラマと一緒に楽しんではどうでしょう?

文=中村未来(清談社)

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