「あの人の名前なんだっけ?」ちょい物忘れの自覚が出てきたら、“頭の体操”にピッタリの『コグトレ・ノート』

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公開日:2021/8/27

脳が錆びないコグトレ・ノート
『脳が錆びないコグトレ・ノート』(宮口幸治/講談社)

「ああ、顔は思い出せるのに、あの人の名前なんだっけ?」「えっと〜この部屋には何しにきたんだっけ?」……アラフィフにもなると、こんなちょっとした物忘れがだんだん「あるある」になってくるもの。あるいはPCやスマホ頼みの影響もあり「いつのまにか字が下手になってる」「漢字がかけない!」などなど、明らかに手を動かす能力が落ちていることに気がつくという方もいるだろう。

 もしもそんな自分にうすうす気がついていても、「残念ながら歳よね…」とそのままにしてしまっているとしたら要注意。こうした状態はいわゆる「認知機能」が低下しつつあるサインの可能性があり、ほったらかしておくとじわじわ衰えていく一方なのだとか!? 「うーん、なんとかしたい…」そう思った大人のみなさん、『脳が錆びないコグトレ・ノート』(宮口幸治/講談社)にトライしてみてはどうだろう。

脳が錆びないコグトレ・ノート p.4

脳が錆びないコグトレ・ノート p.5

「コグトレ(コグニティブ〈=認知〉・トレーニング)」とは、ずばり認知機能強化のためのトレーニングであり、これまでは主に認知機能に弱さのある子どもたちを支援するプログラムとして実践されてきたもの。だが実は大人にも応用可能であり、特に加齢と共に衰えやすい処理するスピードや新規場面での問題解決力、図形推理、記憶容量などに関係する「流動性知能」に効果的だというのだ。

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 本書の著者である立命館大学教授・宮口幸治氏は、ベストセラーとなった『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮社)の著者であり、日本におけるコグトレ普及の第一人者。宮口氏によれば「本書はおもにこの流動性知能の低下を少しでも減らせるよう、コグトレというトレーニングをもとに作られました」とのことだ。

 具体的なトレーニング内容は1日分が「三行日記+コグトレ・パズル」で、これが合計189日分(毎日取り組んだとして、約半年分)用意されている。「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」の5つの機能強化をめざすコグトレ・パズルは1問が数分で終わる程度で、あくまでトレーニングなので正誤を求めるものではない。大事なことは「楽しく集中すること」で、この集中する習慣こそが脳への潤滑油になっていくのだとか(ちなみに筆者〈アラフィフ、ちょい物忘れ自覚あり〉もトライしてみたが、あっという間にできるのにいつもと違う脳がちょっと起動するようで面白かった)。

脳が錆びないコグトレ・ノート p.11

脳が錆びないコグトレ・ノート p.12

脳が錆びないコグトレ・ノート p.13

「三行日記」には「好きなお寿司のネタは?」「電車のここが好き」など毎日異なるお題が設定されているので、「日記はネタ切れで続かないんだよな…」という方もご安心を。もちろんフリー記述もOKで、「思い出して、考えをまとめて、短文におさめる」ことがしっかりトレーニングになるという。思いもよらない自分の考えが見えてきたり、あとで読み返すと面白かったり、「新たな自分」を発見することもありそうだ。

 なおこうしたトレーニングはラジオ体操のように習慣化できれば理想だが、「気が向かなければやらなくてもいい。むしろスイッチをいれたい日の『やる気スイッチ』に利用を」というのもうれしい。コロナの自粛生活で「なんとなく頭がにぶってしまったな〜」という人も頭がスッキリしてくるかもしれないし、もちろん親御さんへのプレゼントにもいいだろう。「大人のコグトレ」で脳をシャキッとさせ、ご機嫌な毎日を過ごしたいものだ。

文=荒井理恵

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