人から言われた嫌な言葉は「アク取り」。心が元気になる『メンタル強め美女白川さん』2巻!

マンガ

更新日:2021/9/15

メンタル強め美女白川さん
『メンタル強め美女白川さん』(獅子/KADOKAWA)

 ひがみ、嫌がらせやマウント、心無い中傷など、さまざまなストレスと戦うすべての女子に捧ぐ『メンタル強め美女白川さん』(獅子/KADOKAWA)の2巻が発売された。嫌なことがあっても「けろっ」と笑顔で対応する白川さんの生き様はまさに“読むビタミン剤”。以前、当サイトで作者の獅子さんにインタビューした際には、私もいつも心に小さな白川さんを住まわせておきたい、そして落ち込んだときは白川さんに「けろっ」と励ましてほしい、と強く思ったのだった。

 さて、2巻のテーマは「ありのままの自分をダメな存在だなんて思わないで」だそうだ。1巻では白川さんが周囲からやっかまれながらも、先輩や後輩何人かとは徐々に打ち解けていった。その流れを汲み、2巻では彼女たちとちょっとした仲良しグループのような雰囲気になっている。それもあってか、今回は白川さんをより身近に感じられるように思う。

 1巻での白川さんの読後の印象はどちらかというと、いつも完璧で憧れの存在。一方で2巻では、みんなとコスメやスイーツの話で盛り上がるシーンも多く、「白川さんも私たちと同じなんだなぁ」と親近感が湧く。けれど、社会で生きる上で避けて通れないのが「他者からの目線や評価」である。白川さんと仲良しの後輩は、ある日はたと気づく。いくら仲が良くても、他の人からしたら白川さんは美人で、自分はそうではない。美人か、美人ではないか、の評価を勝手に下されることはどうしたってある。自分は白川さんと並んでいいような存在ではないのではないか……と。

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 悪意の有無にかかわらず、他者から浴びせられる言葉と行動がきっかけでメンタルというものは揺れる。それを「毒素」にするか、「栄養素」にするか。その「アク取り」の技術こそが、白川さんのメンタル強めの真髄である。メンタル強めといっても、白川さんの場合は決して傷つかないわけではない。何を言われてもまったく気にならない完全にスルーできるタイプの「メンタル強め」ではなく、ほんの数秒、一瞬だけ落ち込む。落ち込んだときの切り替えスイッチや、自分の気分を上げる方法を誰よりもたくさん持っているだけなのだ。

 もうひとつ、2巻で注目なのは初登場の「羽柴さん」だ。美にも仕事にも手を抜かない完璧美女の羽柴さんだが、どうやら意外な過去があるようで……。

 私はかつて、美人には悩みがないと思っていた時期があった。恥ずかしながら、表面だけを見て、さぞや得することばかりの人生なのだろうと(おそらく嫉妬も込みで)大きな勘違いをしていたのだ。本作に出てくる、白川さんや羽柴さんに対して悪口を言う同僚たちも、もしかしたらそういう勘違いをしているのかもしれない。美人であろうとなかろうと、それぞれ悩むことも落ち込むことも当然あると今ならわかる。それは白川さんや羽柴さんを見ていても明白で、美人だから人生のすべてがイージーモードなわけがないのである。

 結局のところ、人の幸せを形作るのは見た目などのスペックではない。人と比べず、ありのままの自分をかわいがることこそが、自分に対しても他人に対しても平和に生きられるコツだろう。そのために、社会で受けた毒素をいかに「アク取り」していくか、白川さんにあやかりたい。

文=朝井麻由美(@moyomoyomoyo

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