叱らなくても子どもが自ら片づけをはじめた! 子どもの行動が変わる「松村式・子育て仕掛学」の効果がすごすぎる

出産・子育て

公開日:2021/9/2

松村式・子育て仕掛学
『松村式・子育て仕掛学』(松村真宏/主婦の友社)

「机の上を片づけなさい!」「どうして玄関の靴をそろえないの?」「ゴミはゴミ箱にちゃんと捨てなさい」。毎日のように子どもに小言を言って、疲れ果てている親は多いのではないだろうか。

「おやつ抜きだよ!」と罰を与えたり、無理やり言うことを聞かせるのは簡単だが、その場しのぎにしかならず、本当の問題解決にはならない。そこで、「やりなさい」「早くして」と言いたくなるところをぐっとこらえて、別のもっと楽しくなるやり方、言い方に変えてみようというのが、“仕掛学”の第一人者・大阪大学の松村真宏教授が提唱する『松村式・子育て仕掛学』(松村真宏/主婦の友社)だ。


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ゴミ箱の上にバスケットゴールを設置したら、ゴミのポイ捨てがなくなった!

“仕掛学”という学問を初めて耳にした方も多いだろうが、仕掛けとは「ついしたくなる」ように間接的に伝え、結果として問題を解決する、というものだ。人の好奇心を刺激し、興味を持たせることで行動の変化を促すことができる。この仕掛けを子育てにうまく活用することを提案しているのが本書だ。

 例えば、ゴミをゴミ箱に捨てずに、いつも床にポイ捨てしてしまう子どもがいるとしよう。著者はそんな悩みに対して、ゴミ箱の上にバスケットボールのゴールをつける仕掛けを提案している。子どもはゴールにゴミをシュートするのが楽しくて、ゴミをポイ捨てしなくなるという仕組みだ。子どもは叱られたからゴミ箱に捨てるのではなく、楽しんでゴミをゴミ箱に捨てる習慣も身につくようになる。床も散らからず、親にとっては一石二鳥となる仕掛けだ。

 実際に著者の大学のキャンパスで、普通のゴミ箱とバスケットゴールを設置したゴミ箱を並べて実験したところ、1.6倍の人がバスケットゴールつきのゴミ箱を利用していたという結果が出た。「ゴールを見ると思わずシュートしたくなる」という人間の心理をうまく利用した仕掛けといえる。

松村式・子育て仕掛学 p.20-21

ファイルボックスの背表紙にテープを貼ったら、整理整頓ができるように!

 整理整頓は、しなければならないとわかっているが、行動に移すのに苦労するもののひとつ。大人でさえ苦手意識を持つ人が多いのだから、子どもがなかなかできないのは当たり前ともいえる。ただ、ちょっとした仕掛けの工夫で解消できる分野でもあるのだ。

 机の上や棚にファイルボックスを並べて、プリントや教科書を整理している家庭は多い。常にきれいに並べられればいいのだが、出し入れの際に順番が入れ替わってしまったり、ガタガタに置いてしまったりしがちだ。

 そこで著者が提案しているのが、ファイルボックスを3~4つ並べ、背表紙の端から端まで斜めにテープを貼る仕掛けだ。こうすると、順番どおりにボックスが置かれていないとテープのラインが乱れてしまうため、ラインがそろうように並べたくなるのだ。

松村式・子育て仕掛学 p.42-43

 このような子育ての仕掛けアイデアが多数紹介されている『松村式 子育て仕掛学』。ステイホームな今年の夏休みだったが、毎日、子どもを叱るのに疲れてしまった方にぜひ取り入れてもらいたい。

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