鬼と人間の宿命を描いた『鬼人幻燈抄』をコミカライズ! 江戸から平成まで、壮大な和風ファンタジーの世界にダイブしよう!

マンガ

公開日:2021/9/11

鬼人幻燈抄
『鬼人幻燈抄』(里見有・中西モトオ/双葉社)

『桃太郎』や『一寸法師』『こぶとりじいさん』など、どの物語でも人間と敵対し、相入れない存在とされている鬼。人間と共存することはおろか、昔話ではお互いを憎んだり蹴落としあったりしている存在だ。

 人間は鬼というだけで悪者扱いしてしまうが、鬼には鬼の歴史があり、人間に理解されない思いを抱えているとしたらどうだろう。なぜ人間は鬼に刀を振るうのか、その意味を読者に問いかけてくれる小説『鬼人幻燈抄』(双葉社)が、このたび、里見有氏によってコミカライズされた。

 本作は江戸から明治、大正、昭和、平成をまたぐ壮大な和風ファンタジー。著者・中西モトオのデビュー作で、「葛野編」「江戸編」「明治編」とシリーズが続いていく。

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 物語の始まりは、現代よりも怪異が身近であった江戸。江戸から百三十里ほど離れた葛野(かどの)を舞台に、「いつきひめ」と呼ばれる巫女と、その護衛を務める主人公・甚太が登場する。甚太は、13年前にある事情から、妹・鈴音と共に葛野へとやってきて、いつきひめを守る「巫女守」を継承した。

 甚太はいつものように「巫女守」として、葛野の周辺をうろついている鬼を討伐しようと刀を振るっていた。しかしある時、討伐先の森で、遥か未来を語る不思議な鬼に遭遇する。

鬼人幻燈抄
『鬼人幻燈抄』4話より

鬼人幻燈抄

「人よ、何故刀を振るう」「摂理に逆らい得た力で、お前は何を斬る」鬼から問われたこの問いの答えを探すべく、甚太は時代を超えて途方もない旅路につく――。

 9月9日に発売されたコミカライズ版は、小説で想像するよりも鬼の表情が豊かで、人間に近い感情を持っていることが伝わってくる。

鬼人幻燈抄
『鬼人幻燈抄』1話より

鬼人幻燈抄

 時には人間の姿に化けて美女を装い、人間のように感情を露わにする。里見氏の気迫ある作画により、コミカライズ版では鬼と人間、それぞれが大切にしているものや譲れないもののための葛藤がひしひしと伝わってくるはずだ。

 また、コミカライズ版と同日に、文庫本の2巻も発売される。2020年には舞台化もされ、世代を超えて愛されている同作のコミカライズ化&小説の発売に、読者からは「9月9日は文庫本にコミック発売に大忙しだな!」「鬼人幻燈抄のコミック1巻のカバーもとっても魅力的で楽しみ!」「Twitterでチラッと漫画見たけど、鬼がデカくて強い感じが出てますね!」「コミックのカバーイラスト、甚太が鈴音を守っているところがカッコ良すぎる…!」といった声が上がっている。

 なお『鬼人幻燈抄』の公式サイトでは、コミックス第1巻の発売を記念し、52ページの試し読みや臨場感溢れるPVも公開された。PVのナレーションは、アニメ『炎炎ノ消防隊』のヴァルカン・ジョゼフ役や『かくしごと』の志治仰役でお馴染みの人気声優・八代拓が担当している。こちらも見逃せない。

『鬼人幻燈抄』公式サイト

 ついにアニメ化の情報も発表された『鬼人幻燈抄』。続報は随時公式Twitterにアップ予定とのことなので、新情報にも期待したい。

 人間とは交わらなかった鬼の思想とはなんなのか、人間が刀を振るうのは何故なのか――。甚太とともに、時代を超えてその問いの行く末を見届けてみてはいかがだろうか。

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