日々の暮らしの小さな選択にも活かせる「ファイナンス思考」とは?

ビジネス

公開日:2021/9/8

何でそれに決めたの? ビジネスから日常まで、迷ったときのファイナンス思考
『何でそれに決めたの? ビジネスから日常まで、迷ったときのファイナンス思考』(而二不二/総合法令出版)

 あなたにとって、「正しい決断」とは何だろうか。

 いつも直感に頼って決めていないだろうか。あるいは、決断が正しかったかどうかを評価するのが難しいことはないだろうか。はたまた、いつも決断ができずにモヤモヤしているということはないだろうか。

『何でそれに決めたの? ビジネスから日常まで、迷ったときのファイナンス思考』(而二不二/総合法令出版)は、私たちに「正しい決断」の条件と方法を教えてくれる。著者の而二不二さんは、国内メガバンクの本部法人支援部門において、現役で部長を務めている。28年間にわたって、ファイナンス思考を極めてきた。

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「ファイナンス」という単語、そして著者の経歴を目にすれば、難しく感じてしまう人もいるかもしれない。しかし、尻込みする必要はない。「ランチは和食? 洋食?」「シャツはどれを買おう?」「どこの英会話スクールに行こうか」というように、本書は日常にある具体的なケースに当てはめて説明してくれるから安心だ。

 例えば、夕飯をどうするか。外食にするか、自宅で作るか。外食なら、牛丼にするか、ラーメンにするか、寿司にするか……。自炊するなら、自宅にどんな食材があるか、買い物に行かなければならないか、何を買うか、もしくはカップ麺で済ませてしまうか……。夕飯ひとつとっても、私たちは無数の選択を迫られていることがわかる。

 而二不二さんは選択を大きく2種類に分ける。一方は、夕飯のように「1回の選択では、その後の人生が大きく変わらないもの」、もう一方が「1回の選択の結果、その後の人生に大きな影響を及ぼす可能性があるもの」のふたつだ。

 前者の場合は、直感や惰性で決めてしまってもいいだろう。一方で、後者は「受験する学校をどれにするか?」「自宅の購入をどうするか?」「親の介護をどうするか?」といった選択が考えられるが、これらは「ファイナンス思考」で考えるのが望ましい。

 ここではじめて、「消費/投資」「キャッシュフロー」「現在価値/未来価値」といったファイナンス用語の出番がくる。とはいえ、ストーリー仕立てで、とにかく身近でわかりやすいのが本書の特徴だ。例えば、高校3年生の田中くんが先生とともにキャリアプランを考えるストーリーでは、「現在価値」や「割引率」を手がかりにして、直感に頼らず意思決定をしていく。

 さらに本書では、「確証バイアス」「現在性効果」「プロスペクト理論」といった行動経済学の用語からの解説も加わり、より身近に日々の「決断」を考えることができる。

 人は、1日に1万~3万回もさまざまな選択をしているという。本書は、きっと今日からの生活に役立つに違いない。

文=遠藤光太

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