自分の親の介護はある日突然やってくる…。介護が始まったら最初に何をやるべき?

暮らし

公開日:2021/9/21

離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本
『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本(角川SSCムック)』(池田直子/KADOKAWA)

 離れて暮らす親とは、年に1回会うのがやっと、という人も多いのではないでしょうか。ましてや新型コロナの感染拡大によりその機会はますます遠のくばかり……。そうしている間に親は確実に年をとっていき、介護が必要になるほど衰えてしまうことも珍しくはないのです。近くにいれば見逃さないシグナルも離れて暮らしていると気づきにくく「ある日突然親が要介護に!」と、ショックな事態もありえます。

 そんなときに、一番やってはいけないことは焦って事を進めること。介護にかかる期間は、平均4.7年と言われており、長期の姿勢で考える事が大切です。また、介護の際に起こることやその対処法を知っておくことも、いざというときの備えになります。『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本(角川SSCムック)』(KADOKAWA)から、介護が始まったときに、まず始めにやるべきことをご紹介します。


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親が突然倒れた! 介護の役割分担は家族みんなで協力しあおう

親が突然倒れた! 介護の役割分担は家族みんなで協力しあおう

 もしも、親が突然倒れてしまったら…。子どもは、まずは何をすればいいのでしょうか? 最初から、「介護をするのは長男の役目」などと決めつけずに、子どもみんなで状況を把握します。そして、それぞれの役割分担を話し合い、今後の介護の仕方を決めるようにしましょう。中心となる介護者が決まったら、他の子どもはもう片方の親のケアや親族への連絡周知などを担います。一人っ子なら、配偶者や子ども、いとこなどの親族に助けを求めるといいでしょう。意外な人が、助けてくれるかもしれません。介護生活はいつまでと期限が決まっていません。介護期間が長くなっても続けていけるように、介護の手を一人に集中させないような工夫を心がけましょう。

親に介護が必要になったら? まずは「要介護認定」の申請をします。

 介護が必要になったとき、まず必要なことは「要介護認定」の申請です。要介護認定を受けることで、介護サービスを1割の費用負担で利用できるようになります。申請には、親の住所地にある「地域包括支援センター」へ連絡する必要がありますが、本人が入院中の場合は、家族が代理で行えます。スムーズに申請の手続きを進めるためにも、親の住所地の地域包括支援センターがどこにあるのかを確認しておくといいでしょう。

 また、親が1人で暮らしているなら、突然の入院などで、実家がしばらく空き家になってしまうことも考えられます。その場合は、留守宅の管理も必要になります。たとえば、施錠管理などの防犯対策やガスの元栓のチェックなど火災にも気をつける必要があります。定期的に郵便を取りに行くのが難しいなら郵便局へ不在届を出しておきましょう。

定期的に郵便を取りに行くのが難しいなら郵便局へ不在届を出しておきましょう

在宅介護でも一日中在宅でお世話をする必要はありません

在宅介護でも一日中在宅でお世話をする必要はありません

 要介護認定を受けて、介護サービスを利用する場合、大きく分けて「施設サービス」と「在宅サービス」の2つの選択肢があります。「施設サービス」とは、主に特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどの介護施設への入居のこと。「在宅サービス」とは、自宅で暮らしている人が利用できる、介護サービスのことで、主に次の3つの種類があります。1つ目は、訪問介護・訪問看護・訪問入浴など、在宅で受ける「訪問系サービス」、2つ目は、自宅にお迎えが来て日中は施設で過ごすデイサービスや、リハビリを施設で行うデイケアなどの「通所系サービス」、3つ目は、週末だけなどで1〜2泊程度の短期間施設に宿泊する「短期入所系サービス」。在宅介護と聞くと、自宅でずっと介護するイメージが強いですが、通所系や短期入所系のサービスをうまく組み合わせることで、介護する側の負担を減らすこともできます。

 介護はいつどんな形で始まるのかは、予測がつきません。ですが、親が元気なうちに希望の介護の形を聞いておくことや、子ども達でできる介護の仕方を考えておくことで、その時が来ても慌てずに済みます。『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』では、介護制度の基本や、介護サービスの内容など介護の基礎から、離れて暮らす親を働きながら介護している方や、リモートワーク制度を活用して遠距離介護をしている方など、実際に介護をしている方の事例とともに、離れて暮らしていてもできる介護の方法が紹介されています。

文=酒井富士子(経済ジャーナリスト)

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