読書メーターユーザー激震! ひとりの「不審者」によって崩れていく平穏な家庭…『代償』著者による渾身のミステリー

文芸・カルチャー

公開日:2021/9/17

不審者 (集英社文庫)

著:
出版社:
集英社
発売日:
不審者
『不審者』(伊岡瞬/集英社文庫)

 心に忍び寄る不安感。焦燥。世界がひっくり返ったような驚愕のクライマックス……。伊岡瞬氏による『不審者』(集英社文庫)に多くの読書家たちが衝撃を受けている。伊岡瞬氏といえば、人間の心の闇を描くのに秀でた人気小説家。数々のイヤミス作品で知られ、特に2014年に発売された法廷サスペンス『代償』は大きな話題を呼び、動画配信サービス「Hulu」でドラマ化もされた。伊岡氏の描き出す物語にはどうしてこうも惹き付けられるのだろう。本作『不審者』(集英社文庫)も、『代償』同様、不吉な香りの漂うミステリー作品だ。それなのに、クセになって読む手を止められない。先の読めない展開についつい惹き込まれてしまうのだ。

 主人公は、フリーランスの校閲者・折尾里佳子。会社員の夫・秀嗣、5歳の息子・洸太、義母・治子とともに家族4人平凡な毎日を送っていた。だが、ある日、秀嗣がサプライズで家に招いた人物によって、平穏な日々は大きく変わっていく。その人物とは、夫の兄・優平。20年以上行方知れずだった優平は、現在は起業家をしているが、具体的な会社名や住所ははぐらかし、高齢のためか、記憶が曖昧なこともある義母は優平を息子とは認識できない。里佳子は優平に対する不信感を募らせていくが、久しぶりの再会を喜ぶ夫の一存で、優平は里佳子たちの家に居候することに。それ以降、里佳子の周囲で頻発する不可解な出来事……。優平は一体何者なのか。何を目的に里佳子たちに近づいてきたのか。

 本作を読んだ読書家たちは、読書メーターにこんな感想を投稿している。

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uminoko
平穏な家族に突然、21年間音信不通だった夫の兄が現れる。何となく影があり、家族にとっての「不審者」だった兄の目的は…。ラストで次々に明かされる真実に何度も驚きました。

まぁし
180度世界がひっくり返りました!! 特に事件らしい事件も起こらないまま日常を過ごしていた里佳子。21年ぶりに突然現れた夫の兄によって、平穏だった生活が、静かな水面に投げ入れた小石のように不穏な波紋が広がっていきます。なんの為に現れたのか、怪しさ全開、モヤモヤしたままかなりの終盤まで話は進み…「これ、どう回収するの?」と思ってました。まさかあんなオチだったとは!!これは全く予想していませんでした。思い描いていた世界が音をたてて崩れていきました。こういうの好きです。

せんとえん
まさか、そういう事だなんて…。夫婦と子供、夫の母親というごく普通の家族に忍び寄る不穏な影。あちらこちらに不審な人や出来事が散りばめられたサスペンスフルな展開に、ハラハラとモヤモヤ。ずっと抱いてた違和感。少しずつ重低音のように響いてきてからの怒涛の終盤は圧巻で、想定外の結末に呆然としてしまいました。「ねぇ、風は吹いている?」里佳子の問いかけが、哀しい。

つぐみん
さすが伊岡瞬さん!完全に騙されました。 タイトル通りに不気味に近づく影。ヒヤヒヤしながら読み進めていくと…まさか!面白すぎて一気読みでした。

冴子
いや〜やっぱり伊岡さんは面白い。平凡な夫婦でありそうにみえて、実は妻にも人に知られたくない過去があり、認知症を認めない姑、行方不明だった夫の兄。身の周りに起こる奇妙な出来事。読む手を止められない面白さで、暴かれる真実。殺人事件や刑事が出てこなくても、これだけ面白い作品もあるのだなぁ。

鈴子
終始漂う不穏な空気。嫌〜な人間ばっかり出てきて。里佳子目線で、「何とかしなきゃ!」って焦りました。うまいよねぇ、こういう嫌みったらしい人物を描くのが伊岡氏は。怖かったです義兄の優平が。秀嗣にはイライラさせられ。なかなかコレだっていう事件が起こらず終盤にさしかかって、もうどうなるんだって思いましたよ、面白かったです。

utinopoti27
頻発する不可解な出来事。徐々に広がるインクのシミのように、不快感が積み上がってゆく。愛する者を守るべく、追い詰められた彼女がとった行動とは・・。最初見えていた景色は、里佳子の過去や息子の出自等が明かされるにつれ、別物に変わり出す。伊岡流サスペンスの醍醐味は、作品全体に漂う「収まりの悪さ」にある。イヤミスとはまた一味違ったラストの衝撃を、是非味わって欲しい。

クリオネ
主人公女性は、自らを「リトル」と称し、小心者だと感じて生きている。この心理描写には共感できる部分もあった。もしかすると、作中の事件は誰でも起こしかねないのではないか。他人を殺す事は勿論だが、自分を殺して生きることはより重い罪なのではないかと感じた。 後半から畳み掛けるような展開になり、読後は狐に摘ままれたようだった。 朝井リョウの『何者』や、住野よるの『また同じ夢を見ていた』に似た雰囲気を感じた。

mirei
不可解な出来事が頻発し、義兄がどう見ても怪し過ぎる。幼い息子、愛する夫、そして家を守るため、里佳子は行動に出る…。しかし、違和感が拭えない。あれ?まんまと騙された。不審者ってそうだったんだ!最後に登場する弁護士に、ん?と気がついて思わずニンマリ。面白かった!

 読書家たちが絶賛するのも納得。この作品には伊岡氏が仕掛けた驚きの罠がある。クライマックスに差し掛かると、今まで見えていた景色がガラリと変わる。大どんでん返しに驚かずにはいられないのだ。

 多くの読書家たちをあっと言わせたこの作品に、あなたは騙されずにいられるだろうか。読後感は何とも切ない。ごく普通の平凡な暮らしがしたかっただけなのに、いつの間にか壊れてしまっていた里佳子の日常に、ただただ呆然とさせられる。きっとあなたもこのミステリーの怪しい魅力の虜にさせられるに違いない。この不穏な空気を、クライマックスの強い衝撃を、あなたもぜひとも体感してみてほしい。

文=アサトーミナミ

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著:
出版社:
集英社
発売日:
ISBN:
9784087442922