「オタクって~だよね」という曖昧さを学術的に解決してくれる一冊

ビジネス・社会・経済

2012/9/13

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:eBookJapan
著者名:東浩紀 価格:648円

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「動物」「オタク」「日本」という単語がひとつのタイトルに含まれている意外性と驚きでこの本を購入。文章自体は明快にも関わらず、立派な学術書なので、理解にはなかなか時間を要します。こと、ポストモダンとか、現代のことになると用語自体に馴染みがないため、電子書籍を開きながら、インターネットのウィンドウを開き、言葉検索をしつつ読み進めました。

いつも思うのですが、講談社電子文庫の書面のつくりは大変読みやすい! 文字がつまり過ぎないので、難解な本も少し親しみやすくなります。奇しくも、先日仕事でマドリードのオタクワールドを覗いたばかりだったので、ふむふむと納得しながら読みました。

オタクでない人には、オタクは全く持って理解不可能相容れない世界ですが、オタク自体が時代の必然的な落とし子であり、その趣向や消費行動も現代社会をもっとも端的象徴している、といえるのかもしれません。本書には、赤線を引きたいフレーズ、引用が満載です。岡田斗司夫氏の「オタク学入門」からひいて、「オタクたちは作品のメッセージよりもむしろ“趣向”を読み解くことに重点を置き、そのセンスは江戸時代の“粋”と直結している」というくだり。この岡田氏によると、「オタクは日本文化の正統継承者である」とのこと。ぎょっとします。

そしてもはや日本国内にとどまらない「オタク系文化の展開をむしろ世界的なポストモダン化の流れのなかで理解してみよう」というのが著者の試みです。大胆にも、オタク系文化の源流をアメリカに辿る論法もなかなか説得力があります。そして、フランスの学者コジューヴの説をなぞり、「戦後のアメリカで台頭してきた消費者の姿を“動物”と」呼ぶことを前提に、このオタクの傾向とリンクさせてゆくのです。

先日、オタク店を訪問したときにも、どんどん、どんどん人が入ってくる様子を観察しつつ、この世界に不況はないと実感したのですが、彼らの目的と消費行動は明らかにこれまでの買い物の仕方、モノへの理解とは違います。そうした「ぼんやりとした」オタクに関する疑問と、「オタクって~だよね」というその曖昧な認識を、時間軸のなか、論理的にばしっと定義してくれる本書。何度か読まないことには完全な理解はできそうにありませんが、オススメです。


オタクのセンスが江戸時代の粋と通じるとは、いかに?!

そうなんです、オタクに愛される作品もモチーフには日本的なものが多い

日本生まれのオタク文化は、アメリカ文化にも、敗戦にも色濃く影響されている

オタク作品の美学を解く
(C)東浩紀/講談社