BLのこと、もっと知ってみませんか? ビギナーから愛好家まで大満足の一冊『BL塾』

文芸・カルチャー

公開日:2021/10/3

BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?
『BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?(王様文庫)』(アニメイトタイムズ編集部 石橋悠、阿部裕華/三笠書房)

 ここ最近、さまざまなメディアで話題の“BL”=ボーイズラブ。これまではBLに触れてこなかったという人でも、男性同士を含む多様な恋愛をコメディタッチで描いた連続ドラマ『おっさんずラブ』や、関ジャニ∞の大倉忠義さん主演で映画化された『窮鼠はチーズの夢を見る』、人気BLコミックをドラマ化した『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(略称『チェリまほ』)などに注目が集まるにつけ、「BLとはなんぞや?」という気持ちが高まっているのでは?

 しかし、ひと昔前までのBLといえば、「知る人ぞ知る秘密の花園」。詳しい人に「BLって何?」なんて聞いてもいいのかちょっと不安、でもヒットの秘密は知りたいし、おもしろいなら自分でも楽しみたい……そんな“BL”の謎を解明するのに、ぜひ手に取ってほしい書籍がある。アニメ関連情報を発信するウェブメディア「アニメイトタイムズ」の人気連載「アニメイト編集部 BL塾」に書き下ろしを加えて書籍化した、『BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?』(アニメイトタイムズ編集部 石橋悠、阿部裕華/三笠書房)だ。

 本書は、「BLの知識はほぼないに等しい」というアニメイトタイムズ編集部員の石橋悠さんが、BL通のライター・阿部裕華さんを講師に迎え、BLの基礎知識をレクチャーしてもらうという講義形式で進んでいく。「そもそも『ボーイズラブ』ってどういう意味?」「『攻め』と『受け』ってどういうこと?」などの楽しくテンポのいい会話を読むうちに、BLの基礎の基礎から、BLとは切っても切れない「エロ」の話、BLの歴史や、ジェンダーの多様化がBL作品のキャラクターに及ぼした影響まで、まんべんなく学べてしまうすぐれものだ。

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 特筆すべきポイントは、どんなBLビギナーでも「自分好み」の作品を見つけられるようになる明確な方法を示してくれていること。このメソッドに沿って、自分の好きなジャンルやキャラクターの傾向、好ましい性描写の範囲を検討していけば、ほっこり癒される作品を読みたいという人も、ディープな作品が気になる人も、さらにはベテランBL愛好家のみなさまも、きっと自分の中にある新たな萌えを発見できる。おまけにカバーは、人気漫画家・森下suuさんの描き下ろしだ。

今や日本でのBL漫画、同人誌、DVDなどの市場規模は200億円以上(朝日新聞2020年10月19日)ともいわれています。「BLという言葉は聞いたことあるけど、よく知らない」という方はもちろん、「ドラマや映画を観るうちに興味が出てきた」「『風と木の詩』なら読んだことある」という方、そして「BL大好き! いつも読んでます!」という方も、BLのことをもっと知ってみませんか?

 日々その存在感を増していて、なによりもわたしたちに至上のときめきを与えてくれるBL。深く知らないなんてもったいない。初心者向けの入門書としては言うまでもなく、愛好家の読書ガイドとしても最適な本書を手にBLの世界に足を踏み入れてみてほしい。

文=三田ゆき

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