結婚1ヶ月で浮気が発覚! マッチングアプリにハマる夫に妻がした「制裁」とは?

マンガ

更新日:2021/9/15

旦那がマッチングアプリでやりとりしてる相手は嫁です
『旦那がマッチングアプリでやりとりしてる相手は嫁です』(もなか:企画・原案、蒼衣ユノ:絵・著/KADOKAWA)

 結婚式で口にする誓いの言葉の脆さを、筆者は知っている。病める時も健やかなる時も愛そうと心に決め、覚悟を固めた最愛の人が結婚後、たった1年でマッチングアプリにハマっていたことがあったからだ。

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 自分以外の女性に夫が心惹かれ、歯の浮くようなセリフを送っている。その事実を知った時、嬉しかったはずの「妻」という呼称が、ただの肩書きのように思えた。

 そんな経験をしたことがあったから、『旦那がマッチングアプリでやりとりしてる相手は嫁です』(もなか:企画・原案、蒼衣ユノ:絵・著/KADOKAWA)の書籍名を見て、自然と手が伸びた。本作はもなか氏の実体験を蒼衣ユノ氏が漫画化した、実録系コミックエッセイ。

 大切な人の心の中で自分という存在が薄れている。そう気づいた時、サレ妻は一体どうすればいいのだろうか――。

幸せになれると思ったのに…夫が結婚1ヶ月でマッチングアプリを使用

 30代OLのもなかはマッチングアプリで知り合った男性と1年弱交際した末、結婚。美容師として独立することを夢見る夫を支え、忙しくも順風満帆な日々を送ろうと思っていた。

 ところが、結婚から1ヶ月経ったある日、夫がマッチングアプリを使用していることを知ってしまう。

旦那がマッチングアプリでやりとりしてる相手は嫁です P14

旦那がマッチングアプリでやりとりしてる相手は嫁です P15

旦那がマッチングアプリでやりとりしてる相手は嫁です P16

 実は夫には、結婚前に浮気をしていた「前科」が。今回はなんと、複数のマッチングアプリに登録していた。

 彼にとって、これは遊びなのか、それとも本気なのか。私に何か不満でもあるのだろうか。そう悩み、憤ったもなかは事実を突きつけた時、夫にすっとぼけられないよう浮気の証拠を掴もうと決意。夫が使用しているであろうマッチングアプリに自分も登録し、潜入捜査を開始する。

 パリピ女や清楚系を装って近づく女になり切り、やりとりを重ねる日々。その中で知ったのは、自分の知らない夫の顔。アプリ内で足跡を残しただけで自ら「飲みにいこう」と誘う夫の下心や、「彼女はおらず結婚もしていない」と嘘をつく狡さを目にし、もなかの怒りはピークに。

 そこで、アプリ内で制裁を下した後、夫に事実を告白。

旦那がマッチングアプリでやりとりしてる相手は嫁です P62

 しかし、この時もなかはまだ知らなかった。自分の知らないところで、夫がもっとひどい裏切りをしていたことを…。

 妻がいながら他の女性を物色する夫と、まさかの裏切りに失望しつつも夫を憎み切れない妻の結婚生活は果たして、どんな結末を迎えるのか。傷つけられたサレ妻が、壊れた夫婦関係にどのような答えを下すのか、見届けてほしい。

夫婦であることの重みを実感できる一冊

 恋愛の賞味期限は、3年。その言葉を聞くたびに、いつも思う。ならば、自ずと3年以上添い遂げることになる夫婦の賞味期限は、一体どれくらいなのだろうか…と。

 大好きな人に一生愛されていたい。一見シンプルに思えるその願いは意外と叶えることが難しいように思う。夫婦は一番近くにいるのに、赤の他人という不思議な関係。だからだろうか。そばにいても「ここにいない」と感じることがある。

 一番近くにいる夫が自分ではない他の誰かにときめいていることに勘づいた時も、そうだ。その事実はあまりにも痛く、これまで一緒に積み重ねてきた思い出や結婚式での誓いが全て真っ黒になっていくような感じがする。

 今この瞬間だけでなく、これまで築き上げてきた笑顔溢れる過去さえも灰色に変えてしまうのが、浮気や不倫だ。目に見えない傷を、互いに一生背負うことになる。

 そんな思いをしない・させないためにも、私たちは人の愛し方をちゃんと考えていく必要があると思う。中途半端な愛では結局、誰も幸せになれないのだから――。

 本作『旦那がマッチングアプリでやりとりしてる相手は嫁です』にはサレ妻の複雑な心境が丁寧に描かれていて、鼻の奥がツンとした。自分が気づかなかった夫の顔を知った時の絶望感や寂しさ、そして浮気の証拠を掴んでも夫を信じたいと思ってしまう心理描写がとてもリアル。

 だからこそ、同じ苦しみを抱えてきたサレ妻だけでなく、現在、他の異性に心惹かれそうになっている既婚者にも手に取ってほしい一冊だと思った。

 ひとりの人生を背負うという責任が、結婚にはある。もなか氏の体験談を通して、その重みを改めて考え、家族がちゃんと心から笑える結論を出してほしい。

文=古川諭香

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