クーデターにより国を奪われた「だんまり姫」が、反乱軍と共に立ち上がる!

ライトノベル

2012/9/15

ルルル文庫 ルチア クラシカルロマン

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 小学館
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:華宮らら 価格:324円

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船上で、とつぜん起こった、軍国主義を唱える政治家・ミラーノによるクーデター。命からがら漂流して逃げ延びた姫・クエルヴァは、国と父王と弟、自分にとってかけがえのない大切なものを全て奪われてしまう。小さな村に漂流し、「ルチル」の仮名をもらったクエルヴァは、父王の言葉通り、レジステンシア(ミラーノの反対勢力)のトップであるエリアスを探しに行くことになる。そこで様々な人と出会い、引っ込み思案の「だんまり姫」が一国の姫として成長していく――。第二回小学館ライトノベル大賞 ルルル賞受賞作品。っていうかこれ本当にデビュー作なんですか!?(笑) 筆力の高さが異常なんですけど!

ルルル文庫にしてはかなり珍しい(って言うか初めて?)、戦争&クーデターもの。しかも世界観も、「黒いオイル」や飛行機が出たばかりというけっこうな近代です。もう、驚きましたね。ルルル文庫を読むつもりで冒頭文を読んでいると、「頭を銃で撃ち抜かれた男」や「甲板を行ったりきたりする軍靴の音」など、らしからぬ文章があったもんで…。一度しおりを挟み、表紙までスクロールしてしまいました(笑)元気っ子が多いルルルでは、“だんまり”で理工技術に長けていて記憶力の良い天才という主人公も珍しいタイプです。

しかしそこはルルル、恋愛要素はしっかりたっぷり――ないんですよねぇそれが。いやむしろ、そこが好感触なんですけどね。本来ならば、傷ついた姫を介抱するイケメン医師、隣国の諜報員のイケメン王子、ミラーノの部下でイケメン軍人、レジステンシアのトップなイケメン従兄弟、とここまで揃っていたら、その内の誰かとなんとかなり、愛の力で国を奪還!なんてことになるのでしょうが、クエルヴァはそれをしなかったのです。どんなイケメンに会っても、彼らの意思を学び吸収し、自分のものにした上で自らの意思で提案し(この提案がまたクエルヴァらしくてイイ!)、立ち上がりました。国の姫として! イケメンたちも決してクエルヴァを甘やかしません。恋にうつつを抜かす暇もなく、自らの使命を果たすのです。健気で真摯な姿は、きっと読者の心を打つでしょう。

きっと、この作品でクーデターものを初めて読む乙女の読者様も多いんじゃないでしょうか。しかしそれほど難しくなく、砕いて簡単に説明してくれているのですんなり読める。頭の弱い読者(私)にも優しい文章でした。今作をきっかけに政治&軍隊を敬遠していた方の意識が変わる、なんてこともあるんじゃないかなぁと思います。


「だんまり姫」。集中してしまうと、他のことに気が回らないルチルこと本名クエルヴァの癖

理工技術に興味深々のルチル。この興味が、後々とっても役に立つ!

百桁の乱数を、瞬時に覚えるお姫さま。暗号化された「黒いオイル」のありかは、彼女の頭の中にしかなくなって…?