子どもを「しつけない」しつけで育て、自己肯定感や幸福感を高める! ほどよい親になるための“レシピ”

出産・子育て

公開日:2021/9/21

非認知能力を育てる「しつけない」しつけのレシピ
『非認知能力を育てる「しつけない」しつけのレシピ』(大豆生田啓友、大豆生田千夏/講談社)

 子どもがよりよく育ち、幸せな人生を歩むためなら何だってしてあげたい。でもそんな気持ちが先走りして、つい強く叱りつけたり怒ったり。それで子どもがシュンとしている姿を見ると、「この気持ち空回りしてない…?」と思うことが多々。子どものしつけって本当に難しい。未熟な子どもには大人がきちんとしつけをする必要があると思うのですが…。

『非認知能力を育てる「しつけない」しつけのレシピ』(大豆生田啓友、大豆生田千夏/講談社)には、「しつけない」しつけが紹介されています。非認知能力とは、読み書きや計算のような目に見える力ではなく、最後までやりぬく力や他者への思いやり、コミュニケーション能力など、目に見えない心の持ちようや社会性を示すもの。乳幼児からの親の関わり方が、将来の自己肯定感や幸福感、学力レベルを高めることにも影響するというから気になります。

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時間の許す限り、子どもの気持ちに寄り添う

非認知能力を育てる「しつけない」しつけのレシピ p.14-15
体罰によるしつけの悪影響は、脳の発達に悪影響を及ぼすことが明らかに

「しつけない」しつけとは、どのようにすればいいのでしょうか。本書にはその方法として、子どもと一緒に考えながら答えを見つけていく関わり方(共有型しつけ)が紹介されています。たとえば、2歳のイヤイヤ期に次のようなケースがあるとしたら…。

部屋で遊びに夢中な時に「そろそろお散歩行こうか」と声をかけると、激しく怒り出してしまいました。そして、すべてに「イヤ」としか言いません。(p.17より)

 イヤイヤ期あるあるですよね。こんなときは次のように接するのがいいそうです。

①背中をなでながら「まだ遊んでいたのにイヤだったよね」と声をかける→「共感する」
②涙をぬぐいながら、おもちゃをいじる子どもをしばらく見守る→「待つ・見守る」
③しばらくしてから「お茶を飲んでからお外に行ってみる?」と聞いてみる。すると、「うん」と自分から靴を履いてくれた。→「選択肢や見通しを示す」
④外に出たところで「一緒にお散歩うれしいな」と声をかけると、子どもは機嫌を直してにっこりと笑っていた。→「親の気持ちを伝える」
といった具合。

 これが、子どもに厳しく教え込むことなく、気持ちに寄り添うだけで子どもの心が育つ「しつけない」しつけの一例。もちろん「うまくいかないことがほとんど」「親の心の余裕があるときに」と添えられていますが、子どもに考えさせる前に答えを教えたり、「こうしなさい」「これはダメ」と命令や禁止をする「強制型しつけ」とはまったく違うことがわかります。

子どもとの「共有」はこんなに楽しい(やってみた)

 うちの子にも試してみました。4歳児ですが、まだまだイヤイヤすることは多々あり…。車の通りが多い道で自転車に乗りたいというわが子に「自転車は置いていこうね」と伝えると、「ずっと乗っていたい」とストライキを起こして座り込んでしまったのですが、「せっかく乗れるようになったからもっと乗ってみたかったよね。あとで公園で乗ろうね」「ちょっと座ってみようか」といって座っていると(もちろん安全なところで)、しばらくこちらの様子を見ていた息子のほうから「僕、おててつなげるんだよ」と声をかけてくれたのでした。

 いつも同じようにはいかないと思いますが、待つことで子どもの様子が変化したことに驚いたし、なにより、手をつなぎながら歩いているときにすごく幸福感がありました。お互いの気持ちを伝えあいながら一緒に答えを出していくという行為により、お互いの理解が深まったようで、なんだかうれしかったのです。

「あなたはどうしたい?」と子どもを尊重し、声を聞くことで、「未熟な子どもをしつけないときちんと育たない」ではなく、「子どもを一人の人間として見られるようになる」という本書の一文が身に沁みました。

非認知能力を育てる「しつけない」しつけのレシピ p.50-51

 そのほかにも、食べる・寝る・トイレなどの生活の基本や、人との関わり方などのジャンル別に、子育ての困りごとに対するヒントが多数紹介されています。「着替えない子」は着替えないままでもいいし、同じ服をもう1枚買うなどの選択肢もある。「片づけない子」はそもそも大人でも難しいことなのだから、それよりもかけがえのない子どもとのふれあいを大切に、などなど。すぐに試せる具体的なハウツーがありつつ、「これでいいんだ」と親としての肩の荷が下りる内容ばかり。あるある満載で「うちの子だけじゃないんだな」という安心感もあります。

非認知能力を育てる「しつけない」しつけのレシピ p.112-113

 つい力が入りがちな親の心にほっと一息つかせてくれる項目もぜひ読んでいただきたいです。親も自分を肯定していいということや、つい見てしまいがちなネットの情報より、個性あふれるわが子を見ることが子育てのヒントになる(わが子がまさに発達の教科書以上の存在)といったことを知り、涙が出るほど救われる気持ちでした。

「私たちにできるのは最善をつくすことだけ」で、親も子も「何度も挑戦することで、新しいことを学んでいく」と考えています。その時々で精一杯やったのだ、とやってきたことを肯定してください。子どもは成長し、状況も変化します。違ったと思えば、また新しい方法を模索して、試してみればよいのです。(p.112より)

「ほどよい親」になる

 ある程度大きくなった子どもには、「甘やかしと甘えの違い」を説いたページが役に立つかもしれません。

 着替えや歯磨き、保育園や幼稚園では自分でできるのに、親の前では「できない」「やって」と甘えてくることがありますよね。子どもにとって園は社会。いつもがんばっているのです。信頼できる親に甘えるのは、親とコミュニケーションをとりたいから。甘ったれになったらどうしよう…と心配にもなりますが、むしろ、甘えを通してしっかりとした安全基地を構築できた子どもは、次に自立に向かうもの。

 親に余裕のないときもあるし、すべてを受け入れるのではなく時には他の方法を提案するのも大切。だけど、子どもの「甘え」と、親が先回りして子どもの自立を拒む「甘やかし」は違う、ということを教えてくれます。いましている行為は「甘え」なのか、それとも「甘やかし」なのか。迷ったときの基準になりそう。

「しつけない」しつけとは、どうやら「正しい親」でも「よい親」でもなく、「ほどよい親でいる」ことであるようです。子育て自体が難しいことだし、これから長く続くものだから、その子の「いま」の幸せをちょっとでも実感できるようにするだけで十分。

 いますぐに知りたいことを、誠実に、ていねいに教えてくれる本書。かわいらしいイラストにも心が和みます。家事育児と大変な毎日ですが、本書を読み、親がご機嫌でいられる時間がすこしでも増えますように。

文=吉田あき

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