紛失した自分のワンピースをママ友が着てきた…『その人って本当に、ママ友ですか?』はママ友トラブルを描き出す恐怖の実体験マンガ

マンガ

更新日:2021/9/21

その人って本当に、ママ友ですか?
『その人って本当に、ママ友ですか?』(ちなきち/KADOKAWA)

「ママ友」とは不思議な存在だ。幼い子どもをもつ者同士、心から分かり合える存在になれればいいのだが、なかなか距離が掴みづらい。ひとたび仲がこじれてしまうと、子どもにまで悪影響が及んでしまうことも。そんなママ友との関係に悩んでいるという人も決して少なくはないだろう。

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『その人って本当に、ママ友ですか?』(ちなきち/KADOKAWA)は、本当にあったママ友トラブルを描き出す実体験を基にしたコミックエッセイ。作者のちなきちさんは、自身やフォロワーの体験談をマンガ化し、Instagramで45万人近くのフォロワーをもつ大人気のマンガ家。ちなきちさんの作品はどの作品も、人間のもつ狂気を感じさせるものばかりだが、その中でも一番反響が大きかったという同作は、ページをめくるたびに身の毛がよだつ。大切な友人だと思っていた女性の行動、巻き起こる事件の数々に何度もゾッとさせられる作品なのだ。

 主人公は30歳の専業主婦のサキ。突然夫の転勤が決まった彼女は、知り合いもいない新しい土地での子育てに不安を抱えていた。3歳の息子・ショウと一日中向き合い続けるワンオペ育児。それに加えて夫は新天地での仕事に疲れきり、サキにつらく当たってくる。そんなサキの不安と孤独は、子育てを経験したことのある人ならば誰もが強く共感させられるだろう。

その人って本当に、ママ友ですか?

 そんな絶望の日々をどう乗り切るか。サキの場合は、SNSで知り合ったママ友が心の支えになっていた。「つらい」という気持ちを共感し合えることに救われたサキ。偶然にもママ友が近所に住んでいることを知った彼女は、2人のママ友と意気投合し、次第に互いの家を行き来する仲になっていく。知らない土地で、初めてできた大切な友人。だが、ママ友・リカコが自宅に遊びにくるようになってから、サキの家の中のモノがだんだんとなくなっていく。消えてしまったお気に入りのワンピース。後日、それと全く同じワンピースをリカコが着て現れる。まさかリカコが盗んだのか? 夫に相談しても「考えすぎだ」と取り合ってもらえない。不信感は深まるが、さらに事件は続き…。夫婦を巻き込みながら事態は思わぬ方向へと進んでいく。

その人って本当に、ママ友ですか?

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 この物語を読んでいると、「もし、こんなママ友と出会ってしまったら」と、想像せずにはいられなくなる。サキと同じ立場に立たされた時にどうすればいいのだろう。最初は、ママ友としての関係を大切にしたいという思いから、自分の勘違いかもしれないと思い込もうとしていたサキだったが、度重なる事件に耐えきれず、ついにはリカコを問いただす。だが、リカコはサキの勘違いだと主張。おまけに、ママ友たちはリカコに味方し、サキは孤立してしまう。「みんなね、ぼくがきたらどっかいっちゃったの」「あしたはあそべるかなぁ?」。何も知らない息子・ショウの言葉はあまりにも切ない。

その人って本当に、ママ友ですか?

その人って本当に、ママ友ですか?

 次々と巻き起こる事件に幾度となく背筋が凍る。一体、リカコはどうして嫌がらせをしてくるのか。先の展開が気になり、ページをめくる手をとめることができない。そして、明らかになる意外な事実には唖然とさせられてしまった。

 人の恨みとはなんて恐ろしいものなのだろう。何よりこの物語が実話に基づいているという事実がますます恐怖をかきたてる。誰かがこんな体験を実際にしているのだと考えると、鳥肌がおさまらない。願わくは、ママ友とは平穏な関係を築きたいもの……。そう心底思わされるこの恐怖のエピソードで、あなたもぜひゾクゾク感を味わってみてほしい。

文=アサトーミナミ

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