林遣都・小松菜奈主演で今年11月映画公開! 虫によってもたらされる哀しい恋物語『恋する寄生虫』

文芸・カルチャー

公開日:2021/10/5

恋する寄生虫
『恋する寄生虫』(三秋縋/KADOKAWA)

 コロナ禍によって延期が相次いでいる映画界に嬉しいニュースが舞い込んだ。大人気俳優の林遣都さんと小松菜奈さん主演の映画『恋する寄生虫』の公開が今年11月に決まったのだ。7月後半にはティザービジュアルと2種類の特報も公開され、その耽美的な雰囲気に息をのんだファンも多いだろう。井浦新さん、石橋凌さんの出演も発表され、公開に向けて期待が高まっている。

 原作の『恋する寄生虫』(三秋縋/KADOKAWA)は累計発行部数15万部を突破した人気小説である。2018年からは漫画家・ホタテユウキさんによってコミカライズされ、2020年まで『月刊少年エース』(KADOKAWA)で連載された。

 今や日本を代表する俳優に名を連ねる林遣都さんが演じるのは、潔癖症の孤独な青年・高坂賢吾(こうさか・けんご)だ。社会になじむことができず、現在無職である。

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 そんな賢吾が出会うのが、他人と視線を合わせることが怖くてできない不登校の少女・佐薙(さなぎ)ひじりである。佐薙役には同性からの支持も根強い若手女優・小松菜奈さんがキャスティングされた。

 繊細で孤独な二人は、謎の男・和泉によって引き合わされ、惹かれ合っていく。

“一人で食べるより、二人で食べたほうがおいしい。一人で行くよりも、二人で行くほうが楽しい。一人で見るよりも、二人で見るほうが美しい。大方の人間にとっては、あえて口に出すまでもない当たり前のこと。けれども高坂と佐薙にとって、それは人生観を揺るがすほどの大発見だった。幸福は、反響する”(原作小説より)

 高坂の潔癖症と佐薙の視線恐怖症も、二人でいると緩和されるという不思議な現象が起きる。佐薙は高坂に言う。

“クリスマスイヴまでに 私は視線を気にせずに 街を歩けるようになる
高坂さんは 汚れを気にせずに 他人と手を繋げるようになる
この目標を達成したら
イヴ当日 駅前の イルミネーションの通りを
二人で手を繋いで歩くの”(マンガより)

 佐薙は「そして」と言葉を続け、もうひとつ、ある提案をする。高坂は同意するが、その後本作は「恋愛ドラマ」というジャンルを超えていく。

 年齢も境遇も異なる二人が、なぜ惹かれ合うのか。高坂と出会った当初から、佐薙は寄生虫についての本を読んでいた。これは大きな伏線だったのだ。

 美しくて哀しくて謎に満ちた物語は、終盤、真実が明らかになる。

 あれはああいうことだったのか――。

 そう感じたとき、読者は本作にそれぞれ異なる魅力を見出すだろう。

 小説の緻密な描写と、漫画の静かなタッチ。それを比べるだけでも興味深いが、映画になると本作の世界観はどのように変化するのか。楽しみで待ちきれなくなるはずだ。

文=若林理央

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