BOOK OF THE YEAR 2021投票受付中!2020年文庫部門を振り返る――2020年1位は伊坂幸太郎!

文芸・カルチャー

公開日:2021/10/3

『AX アックス』(伊坂幸太郎/角川文庫)

 『ダ・ヴィンチ』の年末恒例大特集「BOOK OF THE YEAR」。今年の投票期間は10月5日(火)23:59まで! ぜひあなたの「今年、いちばん良かった本」を決めて投票してみてほしい。

 ここで改めて、2020年の文庫部門にどんな本がランクインしたのか振り返ってみることにしよう。

文庫部門2020年ランキング

1位『AX アックス』伊坂幸太郎

2位『ホワイトラビット』伊坂幸太郎

3位『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』宮部みゆき

4位『恋のゴンドラ』東野圭吾

5位『ゴーストハント』(1~3巻)小野不由美

6位『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ

7位『この世の春』(上・中・下)宮部みゆき

8位『青くて痛くて脆い』住野よる

9位『たゆたえども沈まず』原田マハ

10位『超・殺人事件』東野圭吾

11位『ぼくの映画人生』大林宣彦

12位『アンマーとぼくら』有川ひろ

13位『BUTTER』柚木麻子

14位『夜行』森見登美彦

15位『i』西加奈子

16位『トラペジウム』高山一実

17位『マカロンはマカロン』近藤史恵

18位『ファーストラヴ』島本理生

19位『素敵な日本人』東野圭吾

20位『もういちどベートーヴェン』中山七里

2020年 文庫ランキングは伊坂幸太郎がワンツーフィニッシュ!宮部みゆき、東野圭吾も複数作がランクイン/昨年のBOOK OF THE YEARをおさらい!

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「何度読んでも、手に汗握る小説」「最高に楽しい読書でした」――読者のコメントから、幸せな読書時間を過ごした喜びが伝わってくる。文庫ランキング1位、2位を独占したのは、伊坂幸太郎。首位に輝いた『AX アックス』は、殺し屋と良き家庭人、2つの顔を持つ男が主人公。彼の恐妻家ぶりに笑い、家族愛に涙を誘われたという声が集まった。一方、2位の『ホワイトラビット』は、二転三転しながら思いがけないゴールに連れて行かれる予測不能のミステリー。「“全てを疑え”というキャッチフレーズだったので疑いながら読んでいたが、結局騙されてしまった」など、まんまと騙された読者からの降伏宣言が多数寄せられた。

『ホワイトラビット』(伊坂幸太郎/新潮文庫)

 3位の『あやかし草紙』は、宮部みゆきのライフワークである「三島屋変調百物語」シリーズ第一期完結編。この作品をもって聞き手おちかが“卒業”するとあって、彼女の新たな一歩を祝福する声も。7位の『この世の春』も宮部みゆきの時代小説だが、こちらはミステリー色の強い展開に賛辞が集まった。

『あやかし草子』(宮部みゆき/角川文庫)

『この世の春』(宮部みゆき/新潮文庫)

 東野圭吾は、4位の『恋のゴンドラ』を筆頭に3作品がランクインし、貫禄を見せつけた。いずれも手軽に読める短編集とあって、文庫との相性も良かったのだろう。

恋のゴンドラ (東野圭吾/実業之日本社文庫)

 5位の『ゴーストハント』は、さかのぼること30年以上前、「悪霊」シリーズとして発表された小野不由美の原点。大幅改稿を経て2010年に『ゴーストハント』と改題され、2020年ついに文庫化される運びに。往年のファンはもちろん、「十二国記」シリーズで著者を知った読者をも魅了した。

『ゴーストハント』(小野不由美/角川文庫)

 各種文学賞受賞作や話題の著者の作品も、続々とランクイン。6位の『そして、バトンは渡された』は19年本屋大賞、18位『ファーストラヴ』は第159回直木賞受賞作。映画化された『青くて痛くて脆い』、現役アイドルがつづった初の小説『トラペジウム』は、メディアで取り上げられる機会も多く、文庫化を機に手を伸ばした人が多かった。11位『ぼくの映画人生』は、2020年亡くなった大林宣彦監督の自伝。改めてその足跡を辿り、功績をしのびたい。

『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ/文春文庫)

 例年は、映画・ドラマ化された作品の文庫版が上位に並ぶが、2020年はコロナ禍で映像作品が減少。その分、シリーズものや読み応えのある長編が、多くの票を獲得した。また、『AX アックス』『そして、バトンは渡された』『アンマーとぼくら』など、家族を扱った小説が目立ったのも2020年の傾向。これも世相が反映された結果かもしれない。

文=野本由起

※この記事は『ダ・ヴィンチ』2020年1月号の転載です。