『涼風』『風夏』の作者・瀬尾公治さん新作は、ワケありヒロイン5人との同居ラブコメ!

マンガ

公開日:2021/10/8

※本記事は物語の内容を含みます。ご了承の上お読みください。

女神のカフェテラス
『女神のカフェテラス』(瀬尾公治/講談社)

『女神のカフェテラス』(瀬尾公治/講談社)は、5人のヒロインが主人公・粕壁隼(かすかべはやと)と一つ屋根の下で暮らし、喫茶「カフェテラス・ファミリア」を切り盛りしていく物語である。いわゆる同居ラブコメなのだが、1~2巻には恋の始まる気配はほぼなかった。にもかかわらず、3巻のラストエピソードで突然、物語の未来が提示される。それは「隼と5人のうちの誰かが結婚する」というものだ。

 本記事では、いよいよ盛り上がってきた本作を紹介し、2021年9月末時点でのストーリーの進行や情報から、隼の相手を予想してみたい。

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主人公とワケアリ女子たちとの同居生活がスタート!

 著者の瀬尾公治氏は、個人的には稀代のラブコメ漫画家だと思う。『涼風』『風夏』『君のいる町』(全て講談社)などは、いずれも人気で長期連載となった。

 そんな瀬尾氏の最新作、本格ラブコメである本作は、とある海辺の街の喫茶店「カフェテラス・ファミリア(以下ファミリア)」に隼が帰って来るところから始まる。そこは彼の祖母の店で、両親を亡くした隼が3年前まで2人で暮らしていた場所だ。だが隼は高校入学前に祖母と仲違いをして別居し、そのまま疎遠に。彼は東大に現役合格したが、祖母は再会を果たせずに亡くなっていた。隼は役所からその訃報を聞き、複雑な思いを抱えて戻ってくる。

 だがそこで待っていたのは“カワイイ”5人の女子たち。隼はそのなかの空手少女に倒されて縛り上げられる……。聞けば彼女たちは祖母と家族として共同生活を送り「ファミリア」で働いていたとのこと。しかも祖母の最期を看取り、葬式までしてくれていた。

 隼は休業していた「ファミリア」を再開する気はなく、店と家を解体するつもりでいたが思いなおす。自分が東大に入った理由を思い出したからだ。それは必死に店を守ろうとしていた祖母を助けたい一心だった。

 5人の女子も、追い出されるより“おばあちゃん”の店でまた働きたいと願う。かくして隼は入ったばかりの東大を休学し、彼女たちと「ファミリア」を再建することに。そのなかで、彼と5人との距離は近づいていくのだ。

隼と結ばれる相手を大予想! 5人全員「正ヒロイン」とは?

 隼と5人の関係は前述の通り最悪のスタートを切った。彼は「店を売る金の亡者」「祖母の死にも帰ってこなかった薄情者」と罵倒され、お約束(?)のラッキースケベも連続発生する。だが繰り返すが、隼と彼女たちのうちの誰かとの未来が、3巻でいきなりインサートされるのだ。

 恋が生まれて成就するのは決まっている。そこでここでは5人を紹介しつつ、恋模様レースを予想しようと思う。

クールキャラとのギャップ萌え! 鳳凰寺紅葉(ほうおうじあかね)

 バンドをやっている19歳のフリーター。隼の祖母に淹れ方を教わった、ハンドドリップコーヒーの味は天下一品である。金髪のショートカットで、周囲にはクールな性格に思われていたが、実は名家の娘で跡取りとして婿をとるよう強制されており“やけ”になっていたことが判明する。弱気になって頼った隼に背中を押され、鳳凰寺家の母の説得に成功。それからは彼にわかりやすくデレるようになった。

お姉さんは甘えん坊の元天才子役! 月島流星(つきしまりほ)

 大学2年生で20歳。トレードマークはツインテール。最年長のしっかり者キャラで接客力が非常に優れている。隼の素直で努力家な面に気づき、彼の優しさにもふれ、次第に心惹かれていく。不安定になることもあり、彼へ過剰に甘えるようにもなる。実は元・天才子役でその芸能生活の挫折によって孤独となったことが明らかになった。

隼と過去に何かあった…? 小野白菊(おのしらぎく)

 流星と同じ大学で同い年。ショートボブで性格は控えめで落ち着いており、家事と料理が得意だ。またスタイルの良さは5人随一。しかし酒に弱く、酔うと匂いフェチの本性が発現してストレートに隼へ襲いかかる。出会ったときから、隼へ明確な好意を示しており、実は15年前から彼を知っているようだ。

喧嘩するほど仲がいい? 幕澤桜花(まくさわおうか)

 専門学校に通う19歳で夢はコスチュームデザイナー。料理全般が苦手だが“おばあちゃん”のピラフだけはうまく作れる。赤髪のロングヘアーが特徴で、性格は気が強く、口が悪い隼とは現時点で犬猿の仲。ただ「ファミリア」の制服を仕立て、彼に服を褒められたときには素直に喜んだ。

唯一の妹キャラ!鶴河秋水(つるがあみ)

 最年少の高校2年生で、髪形はポニーテール。空気が読めない天然ボケで、隼よりも年下のため、彼によくツッコミと指導を受けている。ただ彼の子どもっぽい言動に共感し、仲良くすることも多い。学校では空手部で相当な腕前。ちなみにスタイルの良さは白菊レベルだ。

 瀬尾氏のラブコメは長期スパンで山あり谷ありだ。氏の過去作品において、メインヒロインがはっきりしていてもそうであった。まして今回のヒロインは5人で、展開はさらに読めない……が、予想する気はないのかと怒られそうなので書く。3巻時点では紅葉が隼と最も親しくしているので、わかりやすい「本命」だ。流星は年上だが秋水と同じく妹のようで「対抗」に推したい。

「ファミリア」の5人は紅葉や流星に限らず皆ワケアリだ。白菊の秘密は隼と関係がありそう。隼と一番喧嘩している桜花は、結果として彼と多くコミュニケーションをとっている。そして天然JKの秋水。この3人は「穴」かもしれない。なおレースは、大本命でも負けることはある……。

 え、予想になってない? 申し訳ないが、予想を困難にしている要因のひとつは本作のキャッチコピー“5人全員「正ヒロイン」”だ。わざわざこのように言う意味は何なのか。主人公と相思相愛になれない場合「負けヒロイン」などと呼ばれてしまうのだが、本作でははたして……?

 女子5人と男子1人が同居するシーサイド・ラブコメ。結末まではおそらく長い道程になるだろうが、今なら余裕で追いつける。物語の行方を予想しつつ、ぜひ5人の“カワイイ”を、ゆっくりと楽しんでいただきたい。

文=古林恭

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