悪い夢を見ても大丈夫!「寝るのが怖い」問題の解決策を教えてくれる絵本『ゆめぎんこう』第2弾!

文芸・カルチャー

公開日:2021/10/7

ゆめぎんこう ちいさなおきゃくさま
『ゆめぎんこう ちいさなおきゃくさま』(コンドウアキ/白泉社)

 小さな息子が最近、夢の話をしてくれるようになりました。でも話す内容といえば、「お母さんがいなくなった」とか「小さな鳥が大きな動物に襲われていた」とか、悲しくて怖い夢ばかり。涙ながらに話すこともあって可哀想な気持ちになります。

 そんな子どもたちの気持ちに寄り添ってくれるのが、MOEのえほん『ゆめぎんこう ちいさなおきゃくさま』(白泉社)です。誰もが知る人気キャラクター「みかんぼうや」「リラックマ」などのキャラクター原案を手がけたコンドウアキさんによる著作で、シリーズ前作でも「親子ともに感動した」「幸せな気分になれる」と好評を博しました。夢ってなんだろう? 怖い夢を見た時にどうすればいい? そんな子どもたちの不安をやわらげてくれるかもしれません。

ゆめぎんこう ちいさなおきゃくさま

 物語の主人公は「ぺんぺん」。「ゆめぎんこう」の店主をしています。ゆめぎんこうは、お客さまの夢をアメにして売り、誰かが見た夢を買い取ることもできるお店。ぺんぺんがお客さまの夢を引き出し、夢を食べるバクの「もぐもぐ」が、夢をアメに変えているのです。今日もお店は大繁盛。楽しい気分になれる夢はとくに人気があります。

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ゆめぎんこう ちいさなおきゃくさま

 ある時、店先にちいさなお客さまが座り込んでいました。ぺんぺんが声をかけると逃げ出してしまい…。そんなちいさなお客さまにぺんぺんは「ちょっとまって!」と声をかけます。何か事情があることを察して、お茶に誘ったのでした。

ゆめぎんこう ちいさなおきゃくさま

 ちいさなお客さまは、悪い夢ばかり見るから怖くて眠れない、と打ち明けます。ゆめぎんこうでステキな夢のアメを買ったら眠れるかもしれないけど、お金が足りません。ぺんぺんは怖い夢を買い取ることを考えますが、買う人が少ない怖い夢のアメはもういっぱいで……。

決断する時に大切なことを教えてくれる

 物語の中盤で、ちいさなお客さまを救おうとしたぺんぺんはあることを思いつきます。ぺんぺんのおじいちゃんが登場する感動的な一場面で、相手の気持ちを理解したい時や、自分で決断する時に大切な考え方を子どもたちに教えてくれるはず。ぜひ本書を読んでみてくださいね。

 シリーズ1作目では、おじいちゃんのお客さまが登場して大切な人との思い出の尊さを教えてくれましたが、本作に登場するのは、わが子と重なるちいさなお客さま。歯みがきやパジャマの着替えなど“寝る前のルール”がお手本になるし、寝ている間に見る不思議な夢について親子で話すきっかけにもなります。

怖い夢を見てしまう子どもたちの相棒に

 ただでさえ記憶に残りやすい怖い夢。夢の正体がよく分からない子どもにとって、眠れないほどおそろしいことは想像に容易いですよね。後半では、ちいさなお客さまの抱える不安がぺんぺんの声がけでやわらぎます。わが子が怖い夢で起きてしまった時にもしてあげたい声がけです。

 大人っぽいけど時々本音も出てしまうぺんぺんは愛すべきキャラクターで、わが子も大好き。親子で話しているようなリアルな会話が子どもにも理解しやすいし、かわいい配色やデザインに親子で夢中。読後にあたたかい気分になれて、眠るのが怖い子どもの大切な相棒になってくれる一冊。シリーズでそろえたくなりました。

文=吉田あき

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