読書的苦行再び! アナタは生き残れるか!?

小説・エッセイ

2012/9/28

少女地獄

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:夢野久作 価格:525円

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「生まれてこの方、一度も嘘をついたことがない」―――という人は、果たして実際に居るのでしょうか。
キリストの「嘘を一度もついたことがない者だけ石を打つべし」というのは有名な話ですが、そんな聖人と長らく寝食を共にした弟子のペテロでさえ、嘘をついたといいます。

甚大な詐欺行為などは言うに及びませんが、つい繕いで口から出た嘘や、気分の誤魔化しといった些細な嘘も含めれば、大なり小なり、誰しも嘘をついたことはあるのではないかと思います。しかし、これは決して異常なことではなく、むしろ、社会生活の上での“方便”は正常なことです。

さて、本巻の表題作・少女地獄は3編の短編からなる作品です。
・何でも無い
・殺人リレー
・火星の女

いずれも女の業を垣間見る事が出来る物語ですが、第1編の“何でも無い”のイメージがとりわけ強烈です。これぞ少女地獄という作品。近年、竹熊健太郎氏率いる同人雑誌・電脳マヴォでweb漫画化されたので、ご存じの方も多いことでしょう。ざっくり言うと、虚言癖のある可憐な少女を巡るお話であります。カサカサとした書簡テイストであり、ドグラ・マグラ、瓶詰地獄に続く第三の“読む苦行”です。(褒め言葉ですよ)

姫草ユリ子は美少女(しかもナース)ですが、嘘つきなのです。ちょっぴり空想好きの少女、などというレベルではなく、ユリ子の嘘つきぶりはとても尋常ではありません。単に異常というよりも、鬼気迫るほどの情熱でもって虚栄の為の嘘を創作するのです。普通人からするとなんの利害もないような嘘に、文字通り命を賭けていくのです。一体何処までが嘘なのか、もしや全部嘘なのか。読むほどに、爛漫なユリ子の様子とのコントラストが激しくなり、クラクラと眩暈がしてきます…。100回くらい連続で読んだら、相当な女性不信になるかもしれませんね。

年月を経てもまったく古びる事のない、生々しい女の姿。末恐ろしい末恐ろしい…。

―――余談ですが、過度の嘘も異常ですが、過度の正直もまた異常という事を念頭に置いて読み返すと、また違った味わいがあるかもしれません。なにしろ、本編ではユリ子だけが嘘つきで、それ以外の人物は本当のことしか言わないのですから…。


少女地獄の次に童貞

それもユリ子の嘘、ですよね先生?

殺人リレーは瓶詰地獄を思わせる書簡のみの構成