おもしろさはそのままに、ミステリ好きも唸る大ヒットシリーズ最新刊!『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』【PR:双葉社】

文芸・カルチャー

更新日:2021/11/12

むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。
『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』(青柳碧人/双葉社)

 累計30万部突破のベストセラーとなった日本昔ばなし×本格ミステリ短編集『むかしむかしあるところに、死体がありました。』。西洋童話をベースにした連作短編ミステリ『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』を経て、ついに2021年10月、シリーズ最新作となる続編が誕生した。『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』(青柳碧人/双葉社)は、シリーズの原点とも言える昔ばなし×ミステリの第2弾だ!

 むかしむかしあるところに……というおなじみの世界観ではじまる第一話「竹取探偵物語」の主人公で、しがない竹取として暮らすシゲは、子分を自称するヤスとともに、気ままな日々を過ごしている。そんなある日のこと、竹を取りに出かけたシゲとヤスは妙な竹を発見した。節と節のあいだが光っているのだ。その竹を切ってみると、中には親指くらいの大きさの少女がいた。都づとめで女に関わることに懲りていたシゲたちだが、美しい少女・かぐやの願いを受け入れ自宅に連れ帰る。

 竹から生まれたかぐやは驚くほどの早さで成長し、絶世の美女となって5人の男の求婚を受けた。シゲ自身は一生独身を誓った男だが、娘同然のかぐやには、普通の幸せを得てほしい。シゲがかぐやにそう伝えると、彼女は結婚を承諾した。ただ、「深い愛情を注いでくださる方でなければ嫌ですから、その愛情の深さを測りたいと思います」と言い、世にも珍しい品物を持ってくることができた男とならば、ということだった。

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 そんなこんなでかぐやの出した難題の期限が迫るある夜、シゲが目を覚ますと、ヤスの家が燃えている。焼け跡からはヤスの死体が見つかったが、その死にはおかしなところが多かった。ヤスの胸に刺し傷があり、扉は内側から鍵がかけられていたのだった。下手人は、ヤスを刺殺したあとで火を放ち、密室状態の家から抜け出したのか。シゲはヤスの死の真相を突き止めるべく、容疑者となった5人の求婚者を訪ねてゆくのだが……?

 若干、いや、けっこうベタベタにハードボイルドな主人公の設定を別にすれば特に変ったこともなくはじまったはずの「竹取物語」は、ヤスの死体発見あたりから混迷を極めていく。5人の求婚者にはそれぞれ怪しいところがあり、かぐやが要求した珍しい品々を利用すれば、密室トリックも説明できてしまいそうだ。ヤス殺しの下手人は誰なのか、そして、月を見上げて物思いにふけるかぐやの正体は──すべての謎が解かれるとき、ハードボイルド竹取物語は、驚愕と哀愁の結末を迎える。

 本作に収録されている短編は、「かぐや姫」のほかに、「おむすびころりん」「わらしべ長者」「猿蟹合戦」「ぶんぶく茶釜」の5編。いずれもおもしろさは前作までと変わらず、トリックやテーマはミステリ好きを唸らせるものにパワーアップされている。昔ばなしの大胆な翻案(?)ぶりはもちろん、各話のリンクも楽しめる、新しい読者にもシリーズのファンにもうれしい一冊。死体あるところに、生きているものの思惑あり──人の心の機微を描く昔ばなしとミステリの組み合わせの妙を、あなたも体験してみては?

文=三田ゆき

問い合わせ先:双葉社

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