まじめなダメ人間の生き様、ここにあり!
公開日:2012/10/2
34歳無職さん 1
ハード : PC/iPhone/iPad/Android | 発売元 : KADOKAWA / メディアファクトリー |
ジャンル:コミック | 購入元:BOOK☆WALKER |
著者名:いけだたかし | 価格:450円 |
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突然ですけど、『グリーンヒル』というコミックをご存じですか? 印象深い場面に、「泣いてるの? 笑ってるの?」と聞かれて、「両方」とメインキャラクターの“リーダー”が答えるところがあるのですが、この『34歳無職さん』を読んだときの印象もそんな感じです。“ゲラゲラ笑える”というより“乾いた笑い”といった方が正しいような。
本作は唐突に、アパートでひとり暮らしをする34歳の女性(無職)の日常を淡々と描写していくんです。後々、無職さんの無職になったいきさつなどが元同僚との会話でほのめかされたりしますけど、基本的にはよくできたひとり芝居を見ているような印象で楽しめます。あるときは、朝のゴミ出しだけが社会との接点だ、みたいにゴミ出しだけをひたすら追ってみたり。また別の日は、壊れた掃除機の代わりを買うか、ガムテープで修理して節約するかで悩んだり…特別な事件なんてなにもないのに、日々がものすごい早さで過ぎ去っていく。その無職な感じは、著者の経験が活かされているようですが、白眉です。
もうひとつ。主人公の無職さんは、まじめな人なんじゃないかと思うんです。仕事に対してもまじめだっただろうし、自分の人生についてもまじめに考える。あまりに真剣過ぎるから、なにかの拍子に軌道を外れてしまうと間をとりたくなる。考える時間が必要だ、とか思うんですよね。最近は新型うつ病とか、そういうの多いじゃないですか。仕事には行けないけれど、遊びには行ける。というやつです。おそらく、本作に共感できるのはそんなニュータイプではなくもう少し上の世代。会社都合で失職しても、自己責任と受け止めるタイプなんかないかな。そんなきまじめな読者の気持ちを代弁するような、無職さんのつぶやきに注目です!
状況説明はこれだけ。あとは無職の日常描写が続くのだ
ゴミ出しを中心に、独り言とともに家事をこなす日々…
節約といいつつ、買い物(掃除機)をしてしまった日の総括
そうか! 本屋が好きなのは、干渉されない社会参加だったからなのか!!
まじめ人間は高校生でもやっぱりまじめで、ヤンキーは嫌い
でもふたを開けてみると、そういう人種は案外要領よく生きていたりする