国民の8割が歯周病! 口が臭い原因にも。手遅れになる前に知っておきたい歯周病の症状と対策

健康・美容

公開日:2021/11/29

長生きしたい人は歯周病を治しなさい
『長生きしたい人は歯周病を治しなさい』(天野敦雄/文藝春秋)

 コロナ禍になって定着したマスク生活。毎日マスクをする中で、自分の口臭が気になり始めたという人は少なくないらしい。

 大阪大学大学院歯学研究科の天野敦雄教授によれば、元々、私たちの口の中にはなんと便と同じくらいの量の細菌がいるのだという。そして、口臭の原因として最も多いのが、歯の磨き残しがキッカケとなる「歯周病」なのだそうだ。天野教授の著書『長生きしたい人は歯周病を治しなさい』(文藝春秋)は、歯周病と口臭の関係、その対策を教えてくれる一冊。衝撃的な内容も多い本書の記載をほんの少しご紹介しよう。

日本人は世界一口が臭い!? その原因は国民の8割が罹患する「歯周病」

 在日外国人を対象に行われたある調査によると、7割にものぼる在日外国人が「日本人の口のニオイにガッカリした」経験があるのだという。その原因は、日本人の歯周病の罹患率の高さ。実は日本人は8割が歯周病であり、10代でもその割合は4人に1人にも及ぶのだという。だが、その多くは、未治療。未治療の歯周病は、かなりの悪臭を放つようだ。天野教授によれば、歯周病の半数は、歯茎が炎症を起こした「歯肉炎」と呼ばれる初期の歯周病で、オーラルケアを見直せば、改善は可能だという。だが、悪化すれば、歯を支えている歯周組織にまで炎症が広がり、歯を失うことにもつながる。少しでも口の中やそのニオイに異変を感じたならば、悪化させないように、自身のオーラルケアを見直すことが重要なのだ。

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歯周病は感染症! 海外ではキスが原因だが、日本では食事中のアレも危険…

 実は歯周病は感染症だ。だから、今、世界を騒がせている新型コロナウイルスと同様、唾液感染で広がっていくのだそうだ。たとえば、キスやハグを日常的な挨拶とする欧米では「歯周病感染の主な原因はキス」だと歯科の教科書に書かれているという。キスは唾液の交換だから、歯周病菌をうつしてしまったり、逆に相手からもらってしまったりすることもあるのだろう。だが、日本ではキス以上に、「直箸」に気をつけるべきだと天野教授は指摘する。自分が使ったお箸を使って子どもに食事を食べさせれば、子どもに菌をうつしかねない。多くの人が気づいていないだけで、歯周病菌の感染リスクは日常のいたるところに転がっているのだ。

歯周病、口臭を防ぐには?——ちゃんと歯ブラシ換えていますか?

 では、どうやって歯周病、そして、口臭を防げばいいのだろう。天野教授曰く、もちろん、歯周病治療のため、歯医者に行くことが一番。その上で、食後の歯磨き、特に就寝前の歯磨きを念入りに行うこと、起床後すぐにうがいすることも効果があるという。また、歯ブラシの交換も忘れないようにしたい。ある調査では、歯ブラシの年間平均交換本数はドイツでは年間20本、お隣・韓国でも8本という結果だったのに対し、日本ではわずか3.5本、ダントツの最下位だった。歯ブラシには多くの菌が付着するから、毛先が広がる前に1カ月を目処に交換するようにしよう。さらには、口の中の乾燥は歯周病の進行を促すため、口呼吸はNG。たとえば、舌下腺マッサージでは、両手の親指をそろえて、あごの真下から舌をつきあげるようにグッと押すだけで、唾液の分泌を促すことができるからぜひとも試してみてほしい。

 歯周病は口臭だけでなく、全身に様々な悪影響を及ぼすようだ。本書によれば、歯周病菌を放置すると、心筋梗塞のリスクは2.8倍、脳卒中の罹患率は20%増え、早産のリスクは7倍にもなるのだというから、その事実に驚かされる。口臭改善は健康への第一歩だ。本書ではほかにも、「歯周病」と「認知症」や「新型コロナ」との関係、「歯周病」を防ぐ食品、デンタルフロスや歯間ブラシを使った歯周病対策の最新情報など、多岐にわたり有益な情報が紹介されている。あなたも本書をもとに、自身のオーラルケアを見直してみてはいかがだろうか。

文=アサトーミナミ

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