ブラブラの達人・タモリが指南する「お江戸」な坂道の楽しみ方とは?

公開日:2012/10/7

タモリのTOKYO坂道美学入門

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 講談社
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:タモリ 価格:1,404円

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東京の街を歩いていると、ふいに「通り」や「坂」のいわれが書いてある案内板に出くわすことがある。偶然の出会いだからか、そういう案内を読むと、なんだかその土地に少し愛着がわく。語呂合わせ的だったり伝承系だったり、単純ながらどこか納得してしまうエピソードに、江戸の人々の「くらしの感性」みたいなものを垣間見るからかもしれない。

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さて、そんな土地に残る江戸の感性を「坂道」にこだわって収集したのが本書。著書のタモリ氏は日本坂道学会の副会長(といっても会員は会長以下2名らしいが)であり、東京を自ら歩き回って認定した「名坂」を、カラー写真つきで紹介してくれる。タモリ氏によれば名坂の基準は、「勾配の具合」「湾曲のしかた」「まわりに江戸風情をかもしだすものがある」「名前に由来、由緒がある」だそうで、たしかに風情のある坂道がたくさん。特に港区、文京区あたりは名坂の宝庫で、東京は戦争で焼けてしまうという不幸には見舞われたけれど、江戸と地続きなんだなーと実感する。なお江戸といえば下町のイメージもあるが、考えてみれば低地で平な場所の多い下町界隈には坂自体がそんなにないわけで、その結果、この本に登場するのは主に山の手エリアになる。大名屋敷が多かったりする事情もあって、町人的な江戸風情とはひと味違う、落ち着いた風情が味わえる感じだ。

ちなみにタモリ氏の予想以上に実直な文章からは、まじめな「坂道愛」がじわじわくる。歴史トリビアも多く、「へぇ~こんな場所あったんだ」と東京を再発見する感じ。前書きの幼少時代のエピソードがとてもおもしろかったので、合間にもコラムがあったらもっとうれしかったかも…。読んでいると実際に歩いてみたくなるが、近隣の史跡や立寄スポットを配したお散歩ルートもしっかり紹介されているので(距離と散歩時間の目安もあり)実用性もばっちりだ。電子書籍だと本を片手に出かけるより気軽だし、端末の地図アプリも使えばさらに最強だし。秋を楽しみながら、私もこんど愛犬と、ぽつぽつ歩いてみようかな…。


目次より。港区&文京区は坂の宝庫!

巻頭には「名無し坂」写真館。風情のある坂がたくさん!

本文ページ1 同じ構成で全部で37の坂が紹介されている。最初はタモリさんの「坂道考」

本文ページ2 タモリさんが撮った「坂景」。いい味!

本文ページ3 散歩ルートの名所案内。江戸の絵図が気になる~

本文ページ4 イラストマップ&立寄スポットガイド。お散歩のお供にグッド!