「セックスしませんか?」壮絶な死に様を見せた東電OLの謎に迫るルポ作品

小説・エッセイ

2012/10/9

東電OL殺人事件

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 新潮社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:佐野眞一(ノンフィクション作家) 価格:766円

※最新の価格はストアでご確認ください。

 1997年3月8日深夜、渋谷区円山町の薄汚れたアパートで、女性が殺された。被害者の名前は渡辺泰子。慶応義塾大学を卒業後、東電で女性初の総合職として働くエリートOLであった。しかし捜査がなされるうち、彼女には「娼婦」という裏の顔があることが判明する…。偏見と暴力にあふれた警察の取り調べ、ネパール人容疑者ゴンビダ・プラサド・マイナリ氏の冤罪疑惑、安価で体を売り続ける彼女の心の闇。ノンフィクション作家である佐野氏が、足を使い、頭を使い、事件の真相に迫るルポ作品。

 6月初旬、一人のネパール人が釈放・帰国し、家族と泣きながら抱き合うニュースを見た人は多いのではないでしょうか。おそらく、さらーっと流している方がほとんどだと思うのですが、この書籍のタイトルである『東電OL殺人事件』のことなのです。

 本書の読みどころは、実際に起きた事件を、著者の視点から生々しく感じ取れるところ。事件現場の様子が、隅々まで書いてあるので、頭に情景がすっと入ってきます。それに加えて、強烈な被害者と容疑者のパーソナリティー。被害者は、何不自由ない生活であったのになぜ体を売りつづけたのか。容疑者は、他人にお金を借りるほどなぜ買春に走ってしまったのか。犯人は、なぜ安価で性交ができる相手を殺さなくてはならなかったのか。情景と想像が頭でふくらみ、なぜ? なぜ? なぜ!? 神様教えてー! と疑問と好奇心だらけに。もちろん、事件はまだ未解決なので、結論はモヤモヤしたまま終わります。

 ただ、私たちが普通に生きていると、事件の真相・加害者・被害者の人柄はテレビや新聞の一方通行な情報だけ。本書を読んで、「違った角度から情報を見つめることの大事さ」に気づいてみてはいかがでしょうか。


遺族の手紙にこの本を読むべきか、少し悩んでしまいました

警察の呆れた行動が明るみになる

被害者の奇妙な行動