遊びながら脳力トレーニング! 『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治氏監修、認知機能を鍛えるカードゲーム『COGET(コ・ゲット)』とは?

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公開日:2021/12/14

COGET

 長年にわたって少年院の児童精神科医を務め、多くの非行少年たちに出会ってきた宮口幸治教授。ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮社)では、「丸いケーキを3等分に切れない」「簡単な計算ができない」など、認知機能に問題を抱える少年たちに目を向け、彼らの実態、共通する特徴を取り上げている。

 そこから生み出されたのが「コグトレ」だ。これは、学習面、社会面、身体面から子どもたちを支援する包括的プログラム。そのうち学習面の支援である認知機能強化トレーニングがターゲットにする認知機能には、記憶、言語理解、注意、知覚、推論・判断という5つの要素があり、それらすべてを網羅するようプログラムが構成されている。

 ……というと難しそうだが、その内容は「複数の絵の中から同じ絵を2枚見つける」「3つの短い文章を読み上げ、最初の単語だけ覚える。文中に動物の名前が出てきたら手を叩く」「2人1組で、制限時間内にできるだけ高く井型に綿棒を積む」など、ゲーム感覚で楽しめるものばかり。こうした認知機能に着目したトレーニングを158回分収録した『1日5分! 教室で使えるコグトレ』(東洋館出版社)は、朝の会など短い時間でトレーニングできるとあって、多くの学校や医療機関などが教材として使用している。

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 そんなコグトレから、このたびカードゲーム『COGET(コ・ゲット)』が誕生した。コグトレは学習面、社会面、身体面の3方向から困っている子どもたちを支援する包括的トレーニングだが、『COGET』ではその中でも学習面にフォーカス。「見つける」「数える」「覚える」の3つのトレーニングを行うことで、基礎学力の土台づくりに役立てることができる。では、各ゲームの内容を紹介しよう。

【見つける】「くるくる星座」──図形力を高める

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 複数の星座カードの中から、山札と同じカードを素早く見つけ出し、視覚認知の力を鍛えるゲーム。星座はあらゆる方向を向いているため、心の中で回転させて同じ星座か判断する必要がある。このトレーニングによって、「メンタルローテーション」(心の中で回転させ想像する力)も鍛えることができる。

【数える】「さがし算」──暗算力を高める

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 手札2枚を足して、目標の数になるようにする計算ゲーム。例えば目標の数が5なら、1と4、または2と3の手札を出せばOK。数式から解を求める通常の計算練習とは違う、まったく新しい計算ゲームになっている。暗算が得意になる、計算スピードが速くなる、思考スピードが速くなる、ワーキングメモリ(暗算や読み書き、会話に必要な力)が向上する、計画力が向上するなどの効果が期待できる。

【覚える】「なにがあったメモリーカード」──暗記力を高める

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 記憶には、言われたことや見たものをその場で覚える「短期記憶」と、過去の思い出などの「長期記憶」の2タイプがある。このゲームでは、その場に出されたカードを見て覚えることで「短期記憶」を鍛えることができる。漢字を覚える、黒板をノートに書き写す、問題の答えを回答欄に書き写すなど、さまざまな場面で求められる力が身につく。

『COGET』の対象年齢は、6歳から大人まで。お子さんはもちろん、親世代、祖父母世代も一緒に「脳力」をトレーニングできる。カードゲームなので、机に向かってノートを開き……という堅苦しさもないため、勉強に苦手意識のあるお子さん、学習習慣が身についていないお子さんにも最適。ちょっとした隙間時間に、ぜひ遊びながら認知機能をトレーニングしてほしい。

文=野本由起

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