政界の暴れん坊・亀井静香が容赦なく政治家の素顔、実像、生態を暴露! 日本政界のウラ側に驚愕必至の『永田町動物園』

社会

公開日:2021/12/14

永田町動物園 日本をダメにした101人

著:
出版社:
講談社
発売日:
永田町動物園 日本をダメにした101人
『永田町動物園 日本をダメにした101人』(亀井静香/講談社)

 衆議院で連続13期当選、運輸大臣、建設大臣、自民党政調会長などを歴任、小泉政権の郵政民営化に反対して自民党を追われても、国民新党を立ち上げて民主党との連立政権を樹立――と、2017年に引退するまで“政界の暴れん坊”として辣腕を振るってきた亀井静香氏が、自分自身を含めて101人の政治家を論評。政界を引退してもはやしがらみもなく、怖いものもないのかもしれない。とにかく遠慮なく言いたい放題の1冊が『永田町動物園 日本をダメにした101人』(亀井静香/講談社)だ。

 例えば安倍晋三元首相については「俺にとっては今でも父親(安倍晋太郎)の秘書官だった『三下奴(さんしたやっこ)』の晋三のままだ」「社会部会長のときの晋三は、俺に怒鳴られた思い出しかないだろう」「宴会芸ばかりやらされていた晋三」なんて具合。「平沢勝栄」の項では「(平沢氏が)長いあいだ入閣できなかった理由のひとつは、平沢が安倍晋三の小学校時代、家庭教師を務めていたことだろう。そのとき、晋三に『頭が悪い』と言い過ぎたようだ」なんて書かれていて笑ってしまう。

 そんなわけでタイトル通りに動物園のごとき永田町に生息する政治家という特殊な生き物の生態がたっぷり書かれているわけだが、そのムチャクチャな言動の数々には唖然とさせられる。

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「秘書を目の前に座らせ、刀を振り上げて、ビシッと目の前で寸止めしたんだ」
「昼飯を食べながら俺たちと麻雀を始める。国会開会中だって関係ない。(略)麻雀に集中しているから、あまり中身を見ないまま決裁していた」
「カネがなくなると県の総務部長に電話をして、『カネがないんだ。ちょっと出してくれや』と言った。すると部長は何千万円単位のカネを寄越した。恐喝みたいなものだ」
「夕方から西川口のソープランドに入り浸っていた」

 こんなこと書いてしまって大丈夫かとこちらが心配になるほどである。

 そんな調子でベテラン・若手関係なく、著者から見た数々の政治家たちの実像を赤裸々に暴き立てながら、郵政民営化選挙や自社さ政権成立、緊縮財政路線の始まり、加藤の乱など平成の政治の裏側が明かされていく。著者の政治的信条や倫理観について賛同できない部分があったとしても、それはやっぱり面白い。しかし、本書の何よりの読みどころは、これまでの永田町がどのように動いてきたのか、日本の政治の力学がはっきりと見えてくるところだと思う。

 例えば「石破茂」の項では石破氏が自民党総裁になれない理由について次のように語られている。「料亭の座敷で膝を突き合わせて、酒を酌み交わさないといけない。(略)さらに大事なのは、仲間に金を配ることだ。俺が総裁選に出たときは、十五、六億円ぐらいかかった」

 00年4月、密室談合と呼ばれた森首相誕生の経緯はこうだ。

「あんた、やりたいんだろ」
 すると、森は「待ってました」と言わんばかりの表情だった。それで決まった。

 それで決めないでくださいよと思うが、どうもそういうものらしい。

「政治家にとって、人間関係は何より重い」
「政治というのは政策ではなく、人が先にあるのだ」
「要は人と人同士の関係がすべてなのだ」

 こういう言葉が本書にはよく出てくる。あとは「義理」「人情」「カネ」なんてワードも頻出。もちろん、著者を含めて、政治家にはそれぞれ国や国民、そして政治に対する信念があるのだろうが(なさそうな人もいる)、結局のところ永田町動物園を動かすのは、政党と派閥が入り組んだ権力闘争と泥臭い人間関係だということがよくわかる。本書のサブタイトルは著者本人も含めた「日本をダメにした101人」。思わず納得してしまうが、同時に永田町動物園の皆さんも少しは変わってくれるといいのにと願わずにいられない。

文=橋富政彦

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