【ネタバレあり】劇場版公開!『呪術廻戦』の強さを手に入れ自己肯定感をあげる言葉

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公開日:2022/1/6

※本記事にはネタバレが含まれます。ご了承の上、お読みください。

「呪術廻戦」の強さを手に入れる言葉
『「呪術廻戦」の強さを手に入れる言葉』(大山くまお/あさ出版)

 2021年12月24日から上映されている『劇場版 呪術廻戦0』。これは、事故死した幼馴染・折本里香の怨霊に憑りつかれた少年・乙骨憂太が、呪術師の学校である呪術高専に入学して、仲間とともに成長していくストーリー。本編『呪術廻戦』の前日譚です。劇場版の展開にも触れているため、これからストーリーを知る方は、劇場版をご覧になってから本稿もお読みいただけたらと思います。

 まわりに危害を加える里香のせいで孤独にならざるを得ず、傷つけたくない一心で自分の死刑を望んでいた乙骨。そんな彼が少しずつ、自分を生きていていいと認め、強くなっていった背景には、彼が呪術高専で出会った仲間、そして呪術師になって出会った敵の言葉がありました。

『「呪術廻戦」の強さを手に入れる言葉』(大山くまお/あさ出版)から、『劇場版 呪術廻戦 0』にも登場する禪院真希、乙骨憂太、2人の言葉から紹介します。

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コンプレックスやトラウマがある君への言葉

呪いを祓って祓って
祓いまくれ‼
自信も他人も
その後からついてくんだよ‼

(禪院真希/『東京都立呪術高等専門学校』第1話「呪いの子」)

 乙骨は呪術高専の呪術実習で、パートナーの禪院真希とともに児童の失踪が続く小学校に乗り込みます。ところが、2人とも巨大な呪霊に飲み込まれ、呪いに耐性のない真希は戦闘不能になる大ピンチに陥ります。まともに動けるのが乙骨だけにもかかわらず、おびえるばかりで動こうとしません。これは、そんな乙骨に真希が放った言葉です。

 命の危険にさらされても何もしない乙骨を、真希は「何がしたい‼ 何が欲しい‼ 何を叶えたい‼」と問いつめます。乙骨が「誰かと関わりたい 誰かに必要とされて 生きてていいって 自信が欲しいんだ」と本音を打ち明けると、真希は「祓って祓って祓いまくれ‼」と叫びます。つまり、「自分から動け」と檄を飛ばしたのです。真希の言葉によって、自分の消極性と本当にやりたいことに気がついた乙骨は、里香の力を借りて、呪霊を祓うことに成功しました。

 乙骨のように、本当はこうありたい、こうしたいと思っていても前に進めなかったり、過去のトラウマやコンプレックスなどから、一歩も動けなくなっている人がいるでしょう。

 心理学者のアルフレッド・アドラーは、現在の人生を決めているのは「運命」や「過去」のトラウマではなく、自分自身の「考え方」である、と言い切っています。同じ経験をしても、すべての人が同じようになるわけではありません。動けなくなっている人は、トラウマやコンプレックスを人生の問題を避けるための「道具」に使っているというのです。つらい過去に心が引っ張られてしまいがちですが、大切なのは「未来」であり「目的」だとアドラーは言います。

 乙骨はトラウマとコンプレックスの塊のような少年でしたが、「誰かと関わりたい」「生きてていいって 自信が欲しいんだ」という「未来」と「目的」がありました。そこをはっきりさせたからこそ、第一歩を踏み出すことができたのでしょう。つらい「過去」があったとしても、望む「未来」や「目的」が明確になったとき、誰しも動き始めることができるのです。

自信を持ちたい君への言葉

自己中心的だね
だが自己肯定か
生きていく上で
これ以上に
大事なこともないだろう

(夏油傑/『東京都立呪術高等専門学校』最終話「眩しい闇」)

 禪院真希をはじめ、パンダ、狗巻棘と呪術高専で仲間を得た乙骨は、少しずつ里香の怨霊をコントロールすることができるようになり、また以前よりも前向きな性格に成長していました。そんな彼の力を手に入れようと目をつけていた呪詛師・夏油傑は、呪術師だけの世界を作るため、乙骨に憑りつく里香を奪うべく呪術高専を急襲します。大事な恩人たちを傷つけられた乙骨は怒りをにじませながら夏油と交戦し、夏油に渾身の一撃を浴びせます。これは、そんな乙骨に対し夏油が語った言葉です。

 生きるうえでとても大事なものの1つに「自己肯定感」があります。自己肯定感とは、「自分にはできる」「自分には生きている価値がある」「自分は必要とされている」などと自分の価値や存在意義を肯定し、自分自身を尊重できる感覚です。自己肯定感が高くなると、自分のことが好きになったり、わくわくして努力を続けられるようになったり、毎日を楽しく過ごすことができるようになります。

 自己肯定感を高める方法はさまざまですが、1つが「欠点のある自分を受け入れること」です。短所を見つけるとどうしても否定的な考えになってしまうものです。とはいえ、短所のない人は滅多にいません。自己肯定感が高い人は、自分の長所も短所も両方理解し、両方があってこそ自分自身だと受け入れています。「短所をなくす=自己肯定感が高まる、自分を好きになれる」というわけではないのです。

 自己肯定力は、生きる力そのものです。乙骨がそうだったように、生きていくための自信につながります。短所を見つけても必要以上に嫌ったり隠したりせず、「これも自分の一部」だと認めてみてください。過酷で厳しい世界で生きていくのですから、せめて自分だけは自分を大切にして尊重してあげたいものです。

 本書では、『呪術廻戦0』だけでなく、本編『呪術廻戦』の言葉を多数収録しています。劇場版を観る前に、もしくは観たあとに、乙骨をはじめさまざまなキャラクターたちの言葉を味わってみるのはいかがでしょうか?

大山 くまお
1972年、愛知県生まれ。ライター・編集者。映画、アニメ、音楽、プロ野球などカルチャー全般についての取材、執筆、企画立案、編集などを行うかたわら、「名言ハンター」としても活動している。著書に『名言力――人生を変えるためのすごい言葉』『名言のクスリ箱 心が折れそうなときに力をくれる言葉200』(以上、SBクリエイティブ)、『平成の名言200――勇気がもらえるあの人の言葉』(宝島社)、『野原ひろしの名言――「クレヨンしんちゃん」に学ぶ幸せの作り方』(双葉社)、『「がんばれ! 」でがんばれない人のための“意外”な名言集』(ワニブックス)などがある。

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