読みたきゃ歩こう! 「もどかしさ」が堪らない、お散歩必携電子コミック

2012/10/17

あの日、あの場所

ハード : iPhone 発売元 : Plus One Digital
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:0円

※最新の価格はストアでご確認ください。

ごぶさたしてます。約1年半ぶりにレビューを書かせて頂くことになりました、奈良です。「どの面さげて?」ですね。ええ。今回、私がこの鉄皮面ぶらさげてのこのこ出戻ってまりましたのは、ひとえにあの『いつも、どこかで』の第2弾、その名も『あの日、あの場所』の面白さをぜひとも皆さんにお伝えせねばなるまいと思ったからであります。

なにゆえ私がこのシリーズを浪越徳治郎ばりにプッシュしようとしているのかと申しますと、まあ正直「開発者が知り合いだから」っていうのもないわけでは……いや、ないです。ないない。知り合いなのは本当ですが、これといって借りがあるわけでもなし、単純にこのアプリを試して「すげー!新しー!」と思っちゃったからに相違ありません(本当だよ!)。

『あの日、あの場所』は、一組の幼なじみの男女の成長を描いたコミックです。2人が赤ちゃんの頃から、幼稚園、小学校、中学……とその時代時代の彼らのかけがえのないひと時が、木川田ともみさん独自のあたたかみのあるタッチで丁寧に切り取られ、時にすれちがったりしながらも心のどこかで常に相手を思いあう2人の人生が緩やかに展開してゆきます。v

ただし、このコミックには台詞はひとつもありません。でも、登場人物たちのもどかしさ、せつなさ、ぬくもりは十分に伝わってくる。言葉がないからこそ、より自分にひきよせて、共感しながら読むことができるというのもあるかもしれません。

そしてこの作品を語る上で欠かせないのが、スマホアプリならではのGPS機能をもちいた“仕掛け”です。このアプリには7つのお話が収められていますが、プロローグ以外はある条件をクリアしないと最後まで読めません。その条件とは、キーワードをゲットすること。キーワードは、“周辺スポットを検索”することによって手に入れることができるのですが、近くにキーワードが見つからないときは自らの足で探さなければなりません。

キーワードを全部あつめられたら、隠された8つめのお話(エンディング)が読めるようになるのですが、こちとら、2人が赤ちゃんの頃から見守ってきているわけですがら、もはやエンディングを見届けないわけにはいかんじゃないですか。小4の頃、おでん消しゴムにはまって以来、ひさしくあらわれることのなかった“コンプリート欲求”が頭をもたげます。

ちなみに私は「桜」というキーワードだけなかなか手に入れることができず、思いあまって電車に飛び乗り、桜上水という駅でついに全てのキーワードをゲットしました。そしてコンプリートした喜びにほくそ笑んだ次の瞬間、なんとも心にくい演出が……。10月8日の夜、桜上水駅の改札前でひとり、iPhone画面をながめながらホロリとしている女を見かけた方、それおそらく私です。


台詞=細かい文字を読む必要がないから、いちいちページごとに拡大する必要もない。地味なようですが、これ他の電子コミックを読むのとは比較にならないほど快適!

プロローグ以外は、それぞれ指定されたキーワードを取得しないと、2ページ以降よむことができません。キーワードを取得するには、周辺のスポットを検索し、その施設名称の中からキーワードと同じ漢字を探し出します

実際に周辺スポット検索した際の画面。見つからない場合は、思い当たるスポットにむかって移動して検索を繰り返します。実際に自分の足で見つけることができると、思った以上に嬉しい。滅多に行かない駅向こうに足を運んで、新店舗ができてるのを発見できたりしたのも楽しかったです

メニューページ。キーワードは、いずれも各話のタイトル中の一文字で、取得すると点線の文字が赤くなる。全話コンプリートすればChapter7も読めるようになるのですが、この時ちょっとしたお楽しみイベントが発生。お見逃しなく!

なかなか手に入らなかったキーワード「桜」を、京王線の桜上水駅構内にてついにゲット。どうしてもキーワードが手に入らない場合は85円で購入することも可能なのに、往復260円の電車賃と時間を消費し、縁もゆかりもない地を訪れるまでに私をかりたてたものって一体……