先延ばしがなくなる! 誰でもすぐできる、アドラー心理学や脳科学に基づく「自分を動かすためのコツ」

文芸・カルチャー

公開日:2022/1/28

やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ
『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(大平信孝/かんき出版)

 やるべきことをつい後回しにしてしまう。もっと素早く物事に取り掛かることができれば、仕事がスムーズに進むとは分かっているのにどうして自分にはこんなにも行動力がないのか。——このような悩みを抱えている人はきっと少なくはないだろう。

 そんな人の助けになりそうなのが、1万5000人を超えるビジネスパーソンのサポートをしているメンタルコーチ・大平信孝氏による『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(かんき出版)。大平氏によれば、物事を後回しにしてしまうのは、意志の弱さやだらしない性格のせいではなく、もともと人間の脳には、できるだけ変化を避けて現状維持をしようとする防衛本能があり、それが新しい行動を抑制してしまうからなのだそう。本書では、アドラー心理学や脳科学に基づいた「やる気に頼ることなく自分を動かすためのコツ」を紹介。イラストを交えながらたくさんのメソッドを教えてくれるから、自分に合ったものからすぐに生活に取り入れることができそう。「こういう本は男性ビジネスパーソンのもの」というイメージが強いだろうが、類書に比べて、女性からも多くの支持を集めているという一冊だ。


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考えすぎて動けない人は、仮決め・仮行動でよしとする

 大平氏によれば、思うように動けない人の共通点のひとつに「失敗しないようにしっかり計画を練ってから行動したい」という心理がある。もちろん、計画を立てるのは大切だが、考えてばかりいては人は動けない。すぐに行動できるようになるためには、「仮決め・仮行動」でどんどん「行動量」を増やしていくことが大切だと大平氏は語る。そして、その後に「行動の質」を上げるようにすると良いのだそうだ。すぐ動けない人の多くは、行動量を増やすという第一段階を無視して、いきなり行動の質を求めてしまうため、動けなくなってしまうのだ。

どうしても一歩踏み出せないときは、試しに10秒だけ動いてみる

 最初の一歩のハードルを極限まで下げるのが、まず試しに10秒でできることから動いてみる「10秒アクション」。たとえば、勉強したいのにやる気になれない時は、「テキストを開く」、面倒な仕事であれば、「使用するソフトを立ち上げる」。そんなたった10秒のアクションが、次の行動に結びつくのだと大平氏はいう。「10秒アクション」がきっかけとなってその後の行動が15分、30分続いたというのは、よくあること。「現状維持」を好む脳も、少しずつならば、変化に対応できるという。

同じ場所で同じことをする

 考える仕事はカフェ、アポ取りは空いている会議室、ルーチンワークは自席……。大平氏によれば、このように、同じ場所で同じ仕事をするようにマイルールを設定すると、仕事の進みが早くなるという。これは、心理学の世界で「アンカリング(条件付け)」と呼ばれているもの。同じ行動を続ければ続けるほど、その刷り込みは強化されてくる。「アンカリング」を活用して、場所と仕事を結びつけるだけで、つい先延ばしにしてしまいがちな仕事をスムーズに進めることができるのだそうだ。

「結果」ではなく「行動」に注目し、悪循環から抜け出す

 行動しようと思ってもなかなか気持ちがついてこない時もあるだろう。そんな時は、結果ではなく、行動に注目することが有効なのだという。まずは結果を気にせず、行動できたことを評価する。これでだんだん結果が出るようになったら、再び結果に注目するようにすればいい。そうすれば、行動することを躊躇せずに済むだろう。

 本書で紹介されているメソッドは、どれも簡単なものばかり。これならばすぐに挑戦できそう。行動力を高めるためには、ほんの少し工夫すればよいだけなのだ。「仕事の取り掛かりが遅い」と嘆くくらいなら、本書を参考に、勇気を出して、新しい一歩を踏み出してはいかがだろうか。その一歩が、あなたの仕事の質を格段にアップさせてくれかもしれない。

文=アサトーミナミ

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