ラインハルトVSヤン。2人の天才を中心とした封建主義と民主主義の闘い
公開日:2012/10/19
銀河英雄伝説 (1)
ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android | 発売元 : 徳間書店 |
ジャンル:コミック | 購入元:eBookJapan |
著者名:田中芳樹作画 | 価格:533円 |
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絶大な人気を誇るSF小説『銀河英雄伝説』。専制君主制の銀河帝国と、民主共和制の自由惑星同盟との宇宙大戦を描いた超大作を、電子コミック版で堪能できます。第1巻は、アスターテ会戦終結まで。
じつは私が『銀英伝』にはじめて触れたのはテレビアニメ版。どっぷりとハマりました。本作はあの壮大さ、緊迫感、高揚感、きらびやかさ、そして哀愁を損なうことなく、むしろ白と黒の2色による表現で読者の想像力をみごとにかき立てる効果を挙げています。原作もさることながら、心震える作画の力! どこをとっても絵になる、印象的なシーンの傑作選のような本作。コミックだからこそ味わえる美味しさがあります。
本作は言わずもがな、二人の天才を中心にした物語です。銀河帝国の若き天才・ラインハルトと、自由惑星同盟に身を置き知将として人々に愛されるヤン。真逆のような性格の二人が戦場でどのような駆け引きをし、判断を下していくのか。手に汗握ります。
そして、この二人を取り巻く、万華鏡のようにめくるめく登場してはときに散っていく魅力的なキャラクターたち。銀河帝国側はラインハルトを頂点とした君臣の関係を、自由惑星同盟側はヤンを中心とした仲間の関係を築いていきますが、網の目のように複雑な登場人物たちの人間関係から生み出される色濃いさまざまなドラマも見どころです。
さらに、本作が描くのは封建主義と民主主義のぶつかり合い…激しい闘争でもあります。君主制は旧い、民主制が新しい。だから民主制の方が正しい。こういう意見には、「主権者である民が愚であれば、衆愚政治に陥る」という反論がありそうです。君主制は、正しく機能すれば民主制より万民にとって住みやすい国作りが実現できるかもしれない。
現在の不安定な政治や民主主義について考えてみるためのテキストとしても有用な本作を、多感な10代からヘビーなSFファンにまで、幅広くお勧めします。
冒頭から壮大な宇宙戦。陰影が読み手の想像力をかき立てます
色が見え、音までが聞こえてきそうです(宇宙空間で音は…って突っ込まないで!)
ニ人の天才、ラインハルト(上)とヤン(下)
野心家のラインハルト
対比するかのように人間的なヤン。あなたはどちらが好き?
(C)YOSHIKI TANAKA・KATSUMI MICHIHARA/徳間書店